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 君はまず静かに扉を開けて中の様子を窺った。そこは大小の木箱や荷袋が所狭しと積
み重ねられた広間になっており、見える範囲では数人の海賊達が荷の整理に精を出して
いたが、要領が悪いのかあまりはかどっているようには見えない。幸い粉塵で濁った空気
のおかげもあって君の侵入に気づいた者はいないようだが、長居したい場所ではない。
 海賊達のいる場所は散らばっており、確かな人数がわからない。剣であれば無論のこと、
魔法が使用できるとしても容易に切り抜けられるとは思えなかった。
『今のあなたはまだ魔法が使えるといっても不安定で、おそらくは極めて単純な形での使
用しかできないかもしれません。この場所も属精による支援が不安定ですが、いずれは身
の内に宿った魔力をどう発現させられるのか、時間をかけることが許された今ならば試み
ることも可能でしょう。ですから今はどのような効果を望むのか、だけでなく、具体的な発
現イメージを思い浮かべてみて下さい。それがあなたの能力の及ぶ範囲であれば魔法は
効果を発揮するでしょう』
 ルルに導かれ、君がこの状況で思い浮かべるイメージとはどんなものか。

  ・ 寒冷期に見られる濃密な霧の海(287へ
  ・ 露に濡れ光る蜘蛛の巣(150へ
  ・ 氷結した地下水の林立する洞窟(302へ