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【 時間点+1 】
 君が何故かかなり小さめに作られたその扉を開けた途端、甘酸っぱい香りがして君の
嗅覚とともに胃袋をも刺激した。身体を屈めて室内に入れば、密閉されているおかげで
香りは増し、長くいるとおかしくなってしまいそうな気さえする。
 さすがのルルも匂いまでは感じることができないらしいが、それでも頭上に唸るほど実
った芳醇な果実を見ていると、存在しないはずの食欲が疼くと言って小さく嬌声をあげて
いる。
 近づいてみれば果実の見た目は香り同様にリンゴとしか思えないが、片手に余るほど
の大きさがあって、尋常のものではないと感じる。

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