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【 時間点+2 】
 君は1つの大きなリンゴの実を両手で掴むと、付け根からひねるようにして一気にもぎ
取った。
 その瞬間、小さく悲鳴をあげたのは何故かルルだった。
 君が困惑していると彼女から(滅多に無いことながら)苦しそうな声が返ってきた。
 『あなたがその実をもいだ瞬間、彼女……リンゴの樹そのものの苦痛が伝わってきま
した。ですが、怒りよりもむしろ、突然目覚めさせられたことへの動揺を強く感じます』
 しかしそれが何故ルルには理解できるのだろう。
 『推測ですが、彼女が私と同じ、人の手によって成った知性だからかもしれません』
 その真実は知る術はない。だが剣と樹木と形こそ違えども、ある意味、姉妹的な共感
がその間に存在するのかもしれなかった。
 それを聞いた君はリンゴの大樹に向けて謝罪を述べたが、知らなかったこととはいえ、
その手にはすでにもいでしまったリンゴの実がある。
 『彼女から慈愛の意思を感じます。それはありがたく頂戴しておけばよのではないでし
ょうか』
 困っていた君にルルが告げ、君はその樹を見つめながら礼を言った。
 君が手に入れたこのリンゴの実は、1口齧ればHPをサイコロ1個分回復し、2口めか
らはHPとMPを各々サイコロ1個分増加させる魔法のリンゴだ。つまりこのリンゴを食べ
た結果によるものならば、一時的にHPとMPの上限値を越えることができる。ただし一
度傷をつけてしまうとその効果は失われていくため、最大でも3口分となる。そして魔法
の効果が失われた後は1食分の食料になる。この場においても1度に食べられる上限は
3口までだが、3個までは分け与えてもらえるようだった。
 君はありがたく今もいだリンゴを頂戴していくことにした。HPかMPが減っているなら、
ここで食べていっても構わない。
 次にまたこの場所を訪れた際は、室内に入った後で【パラグラフ表】を使い、40を引
いた番号へ
進むこと。
 ともあれ、知性あるリンゴの樹との幸運な出会いによって「強運点」を1点得る。
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