165 【 時間点+2 】 君は1つの大きなリンゴの実を両手で掴むと、付け根からひねるようにして一気にもぎ 取った。 その瞬間、小さく悲鳴をあげたのは何故かルルだった。 君が困惑していると彼女から(滅多に無いことながら)苦しそうな声が返ってきた。 『あなたがその実をもいだ瞬間、彼女……リンゴの樹そのものの苦痛が伝わってきま した。ですが、怒りよりもむしろ、突然目覚めさせられたことへの動揺を強く感じます』 しかしそれが何故ルルには理解できるのだろう。 『推測ですが、彼女が私と同じ、人の手によって成った知性だからかもしれません』 その真実は知る術はない。だが剣と樹木と形こそ違えども、ある意味、姉妹的な共感 がその間に存在するのかもしれなかった。 それを聞いた君はリンゴの大樹に向けて謝罪を述べたが、知らなかったこととはいえ、 その手にはすでにもいでしまったリンゴの実がある。 『彼女から慈愛の意思を感じます。それはありがたく頂戴しておけばよのではないでし ょうか』 困っていた君にルルが告げ、君はその樹を見つめながら礼を言った。 君が手に入れたこのリンゴの実は、1口齧ればHPをサイコロ1個分回復し、2口めか らはHPとMPを各々サイコロ1個分増加させる魔法のリンゴだ。つまりこのリンゴを食べ た結果によるものならば、一時的にHPとMPの上限値を越えることができる。ただし一 度傷をつけてしまうとその効果は失われていくため、最大でも3口分となる。そして魔法 の効果が失われた後は1食分の食料になる。この場においても1度に食べられる上限は 3口までだが、3個までは分け与えてもらえるようだった。 君はありがたく今もいだリンゴを頂戴していくことにした。HPかMPが減っているなら、 ここで食べていっても構わない。 次にまたこの場所を訪れた際は、室内に入った後で【パラグラフ表】を使い、40を引 いた番号へ進むこと。 ともあれ、知性あるリンゴの樹との幸運な出会いによって「強運点」を1点得る。 (189へ) |