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 重厚な扉を開け、警戒しながら君は部屋の中に足を踏み入れた。足元から柔らかく沈
む感触が伝わり、この部屋だけに敷かれているのだろう絨毯の質の良さを感じさせる。
部屋は海賊船の船室としては十分に広く、扉の正面には赤茶色に艶光る巨大で高級な
テーブルが置かれて、その奥の壁に設えられた飾り窓から差し込む外光を反射していた。
部屋の両側には扉が1つずつあるのも見てとれたが、君が最も注意すべきはテーブルの
奥に座っている黒づくめの人影だった。
 その男は金の縁取りが施された漆黒の海賊服を身にまとい、同じく漆黒のマントを羽織っ
ていた。肩まで伸びた髪も口元から顎を覆う髭もまた黒く、鷹のような鋭く切れ長の瞳が
放つ眼光と、身体からにじみ出る威圧感によって只者ではないことを君は悟る。
「……で、わざわざ見せに来るとは、どんな物を見つけた?」
 この船の船長であろう男の声は低く重々しく響き、見た目以上の歳であるかのように思
わせた。
 ところで君はこの海賊船に侵入する際、海賊への偽装に成功していただろうか。 

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