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 扉は突進に耐え切れず、君は砕けた木片とともに室内へと転がり込んだ。一回転して
膝立ちの状態で身構えた視界の中央、巨大なテーブルの反対側に黒づくめの人影があ
る。その人物は長身の美丈夫で、金の縁取りが施された漆黒の海賊服を身にまとい、同
じく漆黒のマントを羽織っていた。肩まで伸びた髪も口元から顎を覆う髭もまた黒く、鷹の
ような鋭く切れ長の瞳が放つ眼光と、全身からにじみ出る威圧感によって只者ではない
ことを君は悟る。
 男は右手に黒光りする奇妙な筒状の物を握って君の顔へ向けており、それが何をする
物かわからない君にも危険な空気が感じ取れた。
 「何者だ……?」
 わずかに視線が絡み合うだけの間があって、ゆっくりと男が口を開く。その声は低く重々
しく響き、見た目以上の歳であるかのように思わせた。
 君はこの海賊船に侵入する際、海賊への偽装に成功していただろうか。 
  
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