430 【 時間点+1 】 君はスヴァルニーダを連れ出すため、自分もまた魔法の使い手であることを話そうと決 めた。君の知っている魔法の知識はルルに聞いただけの僅かなものでしかないが、呪術 ほどではないにせよ魔法の使い手も普通の民衆からみれば特異な人間であることは間 違いない。その証拠に自らを魔法使いと称するような人間が町中で暮らしていることはな く、明らかに別の人間であるという区別は存在していた。君も魔法に関してはまだまだル ルの導きによるところが大きいが、次第に自分なりのイメージは構築しつつある。今なら ば古代の寺院遺跡で記憶を失って目覚めるという素性を明かさずとも、呪術の使い手で あることを隠して生きるスヴァルニーダの共感を得られるかもしれない。 ルルとの関係を伏せつつも君が魔法の使い手となった経緯を話すと、意外にもスヴァル ニーダは興味深げに聞いているようだった。 「……それであなたは、どうやって生きていくつもりなのです?」 話し終えると彼女は君に問いかけた。 「魔法を使えることで、あなたには普通の人ができないことを行えるようになった。けれど それは同時に、あなたが普通の人ではなくなってしまったということではないの? そんな あなたがこれからどのように生きていこうとしているのか、聞かせてくれませんか?」 その問いは、スヴァルニーダに話した以上の秘密を抱えた君にとっては常に考えて然 るべき問題だった。これまでは旅を続けながら人々の力になることが記憶を取り戻す早 道だと告げるルルの言うとおりに行動し、間違っているとは考えていなかったが、今後も そうしていくつもりだろうか。 ・ これまで同様にアテのない旅を続けると答える(545へ) ・ できることなら定住して落ち着いた暮らしをしたいと答える(532へ) |