246 君は脳裏に海岸から沖までを埋め尽くす濃霧を思い描いた。それはイスターヴェの町に 訪れ、漁師達と共に仕事をするようになって初めて目にした光景であり、肌を撫でては流 れていく冷たい粒子を感じながら、見上げた乳暗色の空の中でも存在を示す月と星の輝 きがあったことを覚えている。 ルルに誘導されるまま、次第にイメージが広く深く明確になっていく。感覚が夢と現実の 境界に至り、四肢の重みさえ曖昧になった時、ルルの囁く声が力を増した。 『さぁ目を開いて』 まどろみから覚めた君が目を開いた時、その視界には夢の続きと見紛うほどの白い世 界が広がっていた。 『見てください。これが今あなたの使った魔法の力です』 視覚が明瞭になってくれば、白いのは辺り一面の地面から吹き上がる水の粒子である ことがわかった。 『幸いこの遺跡の眠る地下には豊富な水脈があったようです。海が近いことも魔法の効 果が増した理由でしょう』 君が使用した魔法は、本来ならば水精魔法の基礎を修得した後に扱うべきものだ。今 回に関しては充分に時間をかけたうえ、ルルが導いてくれたために使用が可能になった のだと言える。しかしまた使用が可能になった時のために、以下の事を覚えておくこと。 ------------------------------------------------------------------------ 『 初級上位の水精魔法 』 「濃霧(ミスト)」 濃霧を発生させて視界を奪う。持続時間は使用する環境によって異なるが、拡散する ことのない室内等であれば1時間程度。ただし風のある屋外ではほぼ無効。 対象:術者を中心に一定範囲内(ゲーム中に記載) 消費MP:4 ------------------------------------------------------------------------ 君はこの魔法を使用したことによりMPを4点消費した。その結果MPが0になった場合、 魔法の効果が消失した後に海賊達に発見され、そのまま海に放り込まれてしまう(14へ) 意識を失わずに済んだなら(311へ) |