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君が目覚めて最初に見たのは、限りなく接近した女性の顔だった。
 「…あ、あっ……あのっ…あ、あたし…お薬を……っ」
 真っ赤に染めた顔を両手で覆って身を離していく女性を見ながら、君は村に
入った直後に意識を失ったことを思い出した。
 また、なんとなく唇に温みと苦味が残っている。
 状況から考えるに、彼女の家で介抱を受けたというのは間違いないだろう。
 そして意識を失っている間、口移しででも薬を飲ませてもらったということなの
だろうと推測できた。
 君が感謝を述べると、娘は身を縮めつつ、それが当然だとかろうじて告げて
部屋を出て行った。
 何気なく枕元の横の窓から外を見ると、もう日が高い。
 君はどのくらい眠っていたのだろう……。


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