100 君が目覚めて最初に見たのは、限りなく接近した女性の顔だった。 「…あ、あっ……あのっ…あ、あたし…お薬を……っ」 真っ赤に染めた顔を両手で覆って身を離していく女性を見ながら、君は村に 入った直後に意識を失ったことを思い出した。 また、なんとなく唇に温みと苦味が残っている。 状況から考えるに、彼女の家で介抱を受けたというのは間違いないだろう。 そして意識を失っている間、口移しででも薬を飲ませてもらったということなの だろうと推測できた。 君が感謝を述べると、娘は身を縮めつつ、それが当然だとかろうじて告げて 部屋を出て行った。 何気なく枕元の横の窓から外を見ると、もう日が高い。 君はどのくらい眠っていたのだろう……。 ・ 君が「ルル」を所持していれば(105へ) ・ そんなものは知らないなら(118へ) |