君が目覚めると、そこは圧迫感を感じる深い闇の中だった。
 頭をめぐらせてみれば、わずかに天井の隙間から入り込む光のおかげで、ここが
どうやら岩を固めて造られた狭い部屋であり、その中央にある岩の台座のような
場所で横になっていたとわかる。

 何故こんなところで自分は目覚めねばならなかったのか。
 そして何よりも自分は誰なのか。
 疑問と不安が心中で喚き立てるが、君は自然に深呼吸をして気持ちを落ち着け、
ゆっくりと立ち上がった。
 天井までは君の身長を倍するくらいの距離がある。
 改めて自分の身を確かめてみれば、素朴な布の衣服と、奇跡のように懐にしまって
あった幾許かのコインのみが唯一の持ち物。
 非常に心細い状態ながらも、身体に傷ひとつ無い事に安堵を覚えた君は・・・

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