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【 時間点+1 】
 崖の落とす影によって黒々と染まり、全てを飲み込んでしまいそうな海が眼下にあり、
見上げれば無数の煌きが瞬いている。両者の境を教えるのは銀色の波頭のみだった。
 君が立っているのは左右に長く続く海岸沿いの岩壁に開いた亀裂の1つで、右に目
を向ければ岩壁から突き出て見える尖った岩の道が、漆黒の影と化している沖の小島
にまで繋がっているようだった。そして岩の道よりもっと手前には岩壁が窪んでここから
は見通せない箇所があり、見続けていると小さな明かりが灯った。
 誰がこんな時間に激しく波の打ちつけるような場所にまで来るのだろう。もしかすると、
アデルの言っていた怪しげな連中かもしれない。
 ともあれ、ここでは他にめぼしいものもなさそうだ。洞窟の中へ戻ろう。(78へ