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 君は船室の右舷側にある扉へ向かってじりじりと移動していった。その身体に船長が
握った武器らしき物を向けられてはいたが、まだその効果はわからない。それはルルも
同様だからこそ沈黙したまま君に判断を任せているのだろう。ともあれ相手からの攻撃
が無いのであれば好都合だ。君は扉まで数歩というところで強く床を蹴ると、力任せに
扉へと体当たりをした。扉には鍵が掛かっていたようだがそれほどの強度はなく、外れた
扉もろとも君は隣の部屋へと転がり込んだ。膝立ちになって見回すと、コインの詰まった
宝箱が口を開け、君には価値のわかりそうもない彫像や宝飾品とともに無造作に置かれ
ていた。
『私の知っているような雰囲気ではありませんね』
 確かにそれは物語に見るような金銀財宝の山に比べると、質量ともにだいぶ劣るかも
しれなかったが、はたしてルルの時代の海賊はどれだけの財宝を溜め込んでいたのだ
ろう。そんな思いに一瞬とらわれた時だった。自分とルル以外の気配を感じた君は、改
めて室内に注意を向けた。
 「知覚力チェック」をおこなうこと。

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