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 波に揺られる船の構造がギイギイと軋み、階段を降りる際の足音を打ち消してくれるか
のようだった。警戒しながら忍び込んた船の最下層は、ほとんどの大型船がそうであるよ
うに全体が倉庫となっており、階段は船倉全体を横に分断する通路の中央に位置してい
た。見下ろせば現在の船倉には大型の荷はほとんど見当たらず、暗闇の所々に木箱と
荷袋からなる小島が点々と浮かび上がって見える程度でしかなかった。
 ふと、そんな寂しい空間で船尾の最も奥まった所だけを照らし出していた薄明かりが動
き出したのに君は気づいた。荷の影で小さく揺らめく明りは、たぶんロウソクか何かの炎
に違いない。あまり考えたくはないことだったが、奴隷が娘が閉じ込められているのはこ
のような場所かもしれない。もしそうならあの娘も暗い船倉で最低限の扱いをされている
のかもしれない。予想が外れていることを願いつつ階段を降り切った君は、左右に広がる
闇の中に注意を向けた。

  ・ 足音を立てないように明りの方に向かう(441へ
  ・ 念のため船首方向を調べに向かう(463へ