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【 時間点+1 】
 足音を忍ばせ、闇の中に乱雑に積まれた荷の間を縫うように進んでいくと、その隙間か
ら明かりが漏れ出し薄明るくなっているあたりからコツコツという単調な音が聞こえてきた。
船の軋む音に紛れてそちらに近づいて様子を伺ってみると、船倉の内壁に沿う形で作ら
れた金属製の大きな檻のようなものが3つ、ロウソクの小さな炎に照らされていた。ロウソ
クが立てられた職台は小さな木箱の上に置かれ、その横ではみずぼらしい格好の痩せた
男がこちらに背を向けてうずくまり、何かの作業をしていた。どうやらコツコツという何かを
叩くような音はそのせいらしい。目を凝らせば檻の中には簡素な寝台があり、毛布に包まっ
た人間が横たわっているようにも見えた。
 手前の痩せ男は海賊の手下である可能性が高いが、果たして檻に入っているのはあの
娘なのだろうか。

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