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【 時間点+1 】
 君は海賊達が頭上からの攻撃を警戒している隙を狙い、身を低くして小船までの最短
距離を駆け抜けようとした。幸い海賊達の持つ松明やランタンは頭上に掲げられていて、
足元は岩の突起と彼ら自身が落とす影が入り乱れている。小船までの半分の距離があっ
という間に過ぎ、あわよくばこのまま小船にたどり着けるのではないかと思えた時、後方
で明らかに君に対する誰何の声があがった。すぐ目前に迫った海賊が振り向いたところ
へ肩から衝突し、その勢いのまま小船に飛び乗った君は、すでに乗り込んでいた海賊に
ルルを大振りしてみせる。慌てふためいた海賊はそれを避けようとした際にバランスを崩し、
派手に海へと落ちた。すかさず君は身体を回転させるとルルを岩壁に突き立て、押し出す
反動を利用して船を離岸させることに成功した。海に落ちた海賊が船に手を伸ばしてくる
のを払い除け、岸から投げ付けられる岩や鉈を避け続けていると、そのうち海賊からの
攻撃は無くなった。そこで君は両手に櫂を握り、一気に入り江の外へと漕ぎ出した。
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