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　君が咄嗟の判断に迷っているうちに１人残った海賊は船を漕ぎ出してしまい、もう小船
を利用する事はできなくなった。君は入り江を出た先に停泊しているはずの海賊船に乗
り込む唯一の手段を失ってしまったことになる。そしてあの海賊の報告を受ければ二度
とこの遺跡へは戻ってこないかもしれない。いや、実際に君がどれだけ待っていたとして
も、これほどまでに仲間を失ってなお１人の仇に執着する海賊はいなかった。それはつ
まり、現時点ではあの娘を救い出すという目的を果たせなかったということだ。
　こうなってしまってはせめて本来の目的だけでも確実に遂行しなければならない。ルル
の慰めを聞きながら君は遺跡内に戻っていった。もはや地上への道に君を邪魔するもの
は存在しないだろう。（３３５へ）