361 【 時間点+2 】 今の時間、岸壁の裂け目にできた入り江の中は完全な闇に近い。海賊が簡易的な船 着場として用いるために設けていた明かりがなくなれば、星の輝きがわずかに入り江の 輪郭を黒く浮かび上がらせる程度になってしまう。櫂を漕ぐ海賊はまだ少年っぽさを残し た年齢に見えるが、両側にそびえる岩壁に船をぶつけることもなく慎重に船を操作し、ま るで奈落から這い出た闇そのものがうねりながら地平を覆っているかのように思える外 海へと漕ぎ出した。だが船の舳先に置かれたランタンの明かりによって確実に海賊船か ら確認されているに違いない。この状況ではもう海賊船に到着するまであまり余計なこと はしない方が無難だろう。ただ唯一の心配は「投映」の持続時間だ。ここから海賊船まで この船の速度で進んでいけば途中で効果が切れる可能性が高い。 ルルに訊いてみたところ、どうやら魔法を重複して使用すれば持続時間だけは延長さ せることができるらしい。入り江から出るまでにもそれなりの時間がかかっているわけだ から、このまま姿を隠しているつもりなら「投映」をもう一度使用しておく方がいいだろう。 その場合はMP残量に注意すること。 ・ 念のため「投映」を重ねがけしておくなら(455へ) ・ それ以外の手を考えてみるなら(413へ) |