326 【 時間点+1 】 ランタンの明かりを灯した瞬間、何か巨大な影が君を越えていった。すぐさま頭上を仰ぎ 見ると、それは船倉の天井と壁とに正体不明の影を残しながら離れていったようだ。遅れ て吹いてきた風にはカビと埃の臭いに獣の臭いが混じっていた。君は警戒しながら荷の間 を歩き回ったが、あの娘に関わるようなものは何も見つからず、代わりに大型の鳥の骨だ と思われる残骸があちこちに散らばっていた。 『肉食獣の類が潜んでいたのは確かなようですね』 ルルの言うように船倉を棲み処としている獣でもいるのだろうか。もしかしたら海賊の誰 かが放し飼いにでもしていたのかもしれない。いずれにしても人にとって脅威になるほどの 獣でなければいいのだが。そう思いながら君は船尾方向へと引き返した。(441へ) |