322 【 時間点+1 】 室内に整然と並ぶ幾つもの用途不明な塊の中で、君に用途の判別できる唯一の物が、 壁に沿って並んでいる大きな棚だった。その棚だけは他の塊と同様の黒味を帯びた金 属色ではなく、壁と一体化して設けられた白色の素材になっている。 棚の中を見るのに苦労は要らず、君が表面に触れると勝手に戸が横に滑りながら開 いていった。 3段に分かれた棚の中には、君の見たことも無い細かい器具や空の瓶が散らばって いたが、少なくとも今の君に役立つものではない。 君は部屋を出て行くことにした。(279へ) |