316 君はルルの助言に従って、不思議な素材で閉じられた丸い容器の蓋を開けた。わずか な間をおいて刺激的な冷気が君の鼻腔を刺し、咄嗟に顔を背けた目前でぶくぶくと泡立っ た液体が溢れ出して手元を濡らした。慌てた君が容器を落とすと、薄黄色の液体が床に 広がっていく。 『体調は問題ないですか?』 普段よりも若干焦りの伺える早口でルルが尋ねてきたが、多少の刺激が鼻に残ってい る程度で特に変化は無かった。 これだけではやはりどんな効果があるのかわからないが、もしかしたら使い道もあるか もしれない。望むならこの薄黄色の泡立つ液体を一瓶だけ持っていってもよい。 これ以外には興味を引くものもなく、君は部屋を出た。(279へ) |