86 君は、大蛇に気づかれる前になんとか正面扉へと辿り着いた。 ゆっくりと扉を押し開け、陽の光に溢れた外界に一歩を踏み出す。 その明るさに目を細めつつも、久々に感じた温もりと風の爽快さに、満身創痍の 身体でさえ精気が戻ってくるのを感じる。 振り返って見上げれば、この建造物はやはり寺院の遺跡だったようだ。 そして大部分が山の中に埋まっており、君が最初に目覚めた岩室のあたりは この位置からだと視界に入らない。 君は、遺跡の正面に広がる森の中に、石畳の道の名残を見つけ、それを辿って 行くことにした。 今となってはもう遺跡の中に戻る気にもならない。 それよりも、日が昇っているうちに人家か人里を見つけなければ、空腹で行き 倒れるか、野生の獣にでも襲われて餌になってしまうかもしれない。 今はそのことを心配するべきだろう(130へ) |