マルケン塗りLogfile

written by t.akiba & studioKotatsugaHouse 2008.01.12

はじめに

いまだにマルケン塗りでググってくる人がいるので、マルケン塗り方法の記事を別ページ化しときます。
誤字脱字等の修正は特に行っていません。画像を展開してhtmlタグを加えた程度です。できるだけ当時のままにしています。ちゃんとした文に清書する手間をかけるなら一から作り直すべきですが、それは偉い人の仕事だし。ちゃんとした知識のある人は我が使命だと思って解説ページ作成よろ。

「有用なページを作ってみた」とか「ここに取って替わる、より良いページを作ってみた」というご連絡をいただければ喜んでここからリンクしたいと思っていますので、何かありましたらご連絡ください。


2006/05/16 (Tue)

ここ二、三日、「マルケン塗り」でググって来る人が多いな...なんて思っていたんですが、今月のArmourModelling誌の筆塗り特集のトップがマルケン塗りだったんですな。...って、ググったらうちが一位(記事アップ現在)じゃないですか。ミリタリーモデラーの皆さん、何やってんですか! まぁ今でこそ3,740件もヒットしますが、去年の今頃は6件しかヒットしませんでした。それも「なんちゃってマルケン塗り」とか「マルケン塗りの流れをくむ」とか「マルケン塗り風」とかばかりで、じゃあマルケン塗りって具体的にどう塗ればいいの?という情報がまるでありませんでした。ArmourModelling誌2004/08月号が数少ないソースというか。今でこそ2006/02月号付録DVDという良い教科書がありますが。ArmourModelling誌の誌面での紹介は、なんか見るたびに進化している気がします。基本的な工程は同じながら、クオリティがどんどん上がってきているというか。あとこれ、実際に誌面を見て試してみると判るんですが、いくつか工程が足りません(笑)。行間を読む必要があります。そのへんは失敗しながら考えましょうという事なんでしょうけど。全てが全て1から10までオンブにダッコという事じゃないのね(苦笑)。

ちなみに初めてマルケン塗りで塗ったのが

こんな感じ

次が

こんな感じ

あと

こんな感じ
とか

こんな感じ
とか。
だからそっち方面のミリタリーの何たるかが判っている上手い人がWEB上で塗装講座をやってください。

で、先日組んだ1/35御一行と塗らずに放置されていたのを塗ってみる事にします。今月号ではGSIクレオスのベースホワイトスプレーとなっていますが、以前の誌面での準備品だったGSIクレオスのラッカーのつや消しホワイトスプレーがまだいくらか残っているので今回はこれで下地を。過去の経験から下地が完全に乾いてからやり始めた方がよいという事が判っているので、この状態で明日まで置きます。

ちなみにマルケン塗りの魅力と言えば、「早く塗れる」事です。簡単じゃなくてもいいからとにかく早く塗る方法を模索する当ページとしてはかなり魅力的な塗装法です。人が模型を積みっぱなしの言い訳第一位として「時間がない」というのがあるので、時間短縮は言い訳を言えなくする...じゃなくて手を動かす人の人口増加に有効だと思うんですよ。


2006/05/17 (Wed)

たてがみ屋さんの2006年5月17日で「アーマーモデリングを読んでもマルケン塗りが良く分からなかった」とありましたので、じゃあ判る範囲で書いてみましょうか。


昨日ラッカーでつや消し白を吹きました。これはこの後で上からアクリル塗料で色を塗るので、わざわざラッカーで下地を塗っています。なぜ白なのかというと、アクリル塗料を塗ったあとでラッカーのベースホワイトっていうか白でドライブラシしてアクリル塗料を溶かしつつ下地を出す為です。全体の色調を明るくして、空気遠近法のように大きいものを遠くから見たら淡くなるという効果を狙ったものです。 で、昨日書くのを忘れていましたが、最初にパーツを全部接着します。バリ取りとかはまだしません。その上から昨日のようにラッカーのつや消し白を吹きます。このあとバリをデザインナイフや彫刻等で削って行くわけですが、とりあえずバリや傷が見やすくなればいいので白はそれほど丁寧に塗らなくてもいいです。ガンプラみたいにサーフェイサーを厚塗りとかもしません。
で、バリを削るわけですが、見えない所は塗れないし、塗れない所は見えないので、そういう所はバリも削りません。見えない所に時間をかけるよりも見える所に時間をかけたいです。
それと同時に、ポケットや襟や階級章や髪等、絵に描いたらここに線を引くと思われる境目の所をデザインナイフや彫刻等で削り込み、エッジを際立たせます。この溝部にあとで塗るアクリル塗料が毛管現象で溜まります。なので、モールドやエッジが丸く甘くなっている所は削り込んで別部分って感じにします。最初に全部接着した部品の境目とかもアクリル塗料が溜まる所ですね。
とりあえず今日の写真はバリ取りをした所まで。このあとエッジを立てて行きます。


2006/05/18 (Thu)

マルケン塗り、今日は彫り込みをします。
ArmourModelling誌2006/02月号付録DVDでは彫刻刀の三角刀を改造した専用彫刻刀を使用していました。...って、初心者に説明しているのに、どこにも売っていない自作工具で加工します、なんて説明の仕方あるかい!形状としては、三角刀の角を2mmほど残してあとはグラインダーで削ったもの。昨日の写真に写っている精密ドライバー、実は試しに作ってみたんですが、+ドライバーを削ってV字のノミを作ってみたんです。まぁまぁでした。
当ページとしては、いっその事デザインナイフ一本でどうにかしてみますか。

っていうか、最近のタミヤやドラゴンのキットは精密でエッジも出ているので、あえて彫り込まなくてもいいような気がします。とりあえずパーティングラインさえ消えていれば。
説明によると、マルケン塗りは下地に最も時間をかけるような事が書いてあるので、気が済むまで彫り込みましょう。

そしてそのあと、またつや消しホワイトをスプレーして全体的に白くします。


2006/05/19 (Fri)

マルケン塗り続き。
昨日の状態からラッカーのつや消しホワイトをスプレーし、乾かします。触っても手につかない程度まででいいです。
さて、これから着色です。

ここからはアクリルカラーを使います。リキテックスとか持ってる人はそれでもいいらしいですが、とりあえず説明ってことで基本どおり行きます。説明書の指定色そのものがあるし。
アクリルカラーはアクリルカラー:溶剤を1:2くらいに薄めます。普段筆塗りしている人から見るとかなり薄めですね。
奥になる部分から塗って行きます。写真のキットですと、手に隠れた腹、ベルト、顔あたりですか。誌面では面そう筆で塗料を「乗せていく」という表現をしていますが、薄い塗料を塗ると毛管現象により溝に塗料がたまり、平面の塗料は薄くなります。これがしたくて昨日モールドを彫り込んだんです。はみ出さないように注意して塗って下さい。ここでの心構えは「筆ムラはカッコイイ」えす。意図しない筆ムラが自然な塗装を生み、いい感じに自然になります。あとで。塗料が薄いので面そう筆を水でバチャバチャ洗ってティッシュでふくだけで塗料を落とせるので、アクリルカラーは面そう筆一本で足ります。
ここではみ出た所はGSIクレオスのベースホワイト1000を筆塗りして消します。フィギュアによっては階級章等、白いほうが良い所がありますが、それはこの時点でベースホワイトで白くしておきます。
このあとベースホワイトでドライブラシをするので、アクリルカラーをよく乾かします。

あー、文に書いてみて改めて意識しましたが、「乾く」というのは「手で触っても平気なレベル」と「塗料としての乾燥レベル」の二種類がありますね。無意識的にやってたという以前に当ページでは一日に塗装にかける時間が限られる為に乾燥時間は実質翌日までの23時間程度確保出来るんですよ。

[追記]あ、やっぱり手で触ってつかない程度で次工程に進んでいいです。


2006/05/20 (Sat)

マルケン塗り続き。
あ、やっぱり昨日の状態からは手で触ってもいい程度の乾きでいいです。

アクリルカラーやエナメルカラーで細かい所を描き加えていきます。もう箱絵や説明書やその他資料を気が済むまでこれでもかってくらい書き加えても良し、今日ホビーショーで本物を見た興奮を冷めないうちに反映させるのも良し、まぁそこまでこだわってないよって感じで適当でも良し。好きにします。いや、だってほら、ミリタリー方面の楽しみ方の一つに「資料の模型への反映」があるじゃないですか。新事実を見つけちゃったら模型に反映したくなるじゃないですか。ネジの正しい本数がわかったら模型も同じ本数にしたいじゃないですか。
わたしの場合は資料とか持っていないので書き加えたのはライトぐらいです。GSIクレオスのベースホワイトでライトを白く塗りつぶし、タミヤエナメルのクリアオレンジやクリアレッドで塗ってます。あと服の迷彩は説明書を見ながら指定色で適当にニョゴニョゴと。顔とかもこの段階で目とか塗っちゃって下さい。キットは山崎邦正似です。

この時点での写真を見ると、なんか非常に残念な感じの塗装例に見えます。バイクとか。しかしこの後ベースホワイトでドライブラシする事によって見違えるほどいい感じに!...なるといいなぁ。


2006/05/21 (Sun)

マルケン塗り、最終回。
GSIクレオスの瓶のベースホワイト1000をラッカー溶剤で薄め、ドライブラシします。
ベースホワイトと溶剤は今回1:3くらいで薄めましたが、ラッカーはどんどん乾いちゃうのでわたしのベースホワイトが今現在どれくらい濃いのか不明です。柔らかめの筆にベースホワイトを付け、ティッシュに付けて筆についたベースホワイトを減らし、試し書きしたあとに塗り始めるわけですが、このドライブラシ濃度というのが誌面ではわからない所です。ちなみにわたしは試し書きはいつも左手の親指の爪でやってます。一番近場にあるし(笑)。エアブラシを吹いていて途中でちゃんと出てるか確認したい時も左手の親指の付け根あたりで試し吹きしてます。そのまま落ちずに会社に行ったりしてます(笑)。
濃度ですが、試し書きした時に、濃い線しか出なければ「少なすぎ」。べちゃっと塗料が付いたら「濃すぎ」です。薄ーく濡れたら「次ぐらいでOK」です。ガンプラのドライブラシだとばっさばっさの竹箒みたいな状態にしてやったりするみたいですが、今回がバトルダメージが目的じゃないですから。
これで上から下にキットを撫でていきます。正確には光が来る方向から影の方向に撫でていくわけですが。誌面では「白を乗せるというよりもアクリルカラーを溶かして下地の白を出す感じで」とあります。ドライブラシが濃い線しか出ない状態だとアクリルカラーは溶けません。写真のバイク前輪泥よけあたりの状態ですね。べちゃっと付いたら真っ白になります。山ちゃん(仮名)左肩あたりの状態ですね。上手く行くと左足あたりの状態になります。わたしはパソコンがアレしちゃってるので写真をちゃんと見れてませんが。あと筆ムラが気になる所はこの時点で平均化していきます。
これでちょっと不安になるくらい白くするとドライブラシ完了です。太陽光で撮った遠方の写真のように淡ーくなります。
あとは「いくらなんでも、そりゃないだろ」という所をエナメル塗料を溶剤で1:3くらいで溶いて面そう筆で塗っていきます。タッチアップ修正とか言います。この時その3の時に彫り込んだモールドにエナメルカラーが毛管現象で染み込んでていっていい感じになります。ドライブラシで消えてしまった階級章やボタン等はこの時に修正します。満足いくくらいまでエナメルカラーで書き加えたら完成です。

このラッカー、アクリル、エナメルの特性を活かした塗装がマルケン塗りになります。モ子ちゃんやKeiちゃんの教科書に載ってそうな。

タイムスケジュールとしては、
10:00 パーツ切り出し、接着
12:00 その1
14:00 その2その3
17:00 つや消し白をプー
20:00 その4
22:00 その5
22:30 その6っていうか今日の。
24:00 完成。
でやると一日で塗れます。多分慣れると誌面のように上手く塗れるはず。

間違いやダメな所を見つけた人は具体的な作例写真を添えてblog等で抗議していただけると有り難いです。うまい具合にリンクします。




履歴:
2006/05/16〜21 っていうか、こういう塗装法の解説って技術があって上手い先輩達がやりべきなのに、やつらは偉そうにしてて全然動こうとしないのに憤慨し、とあるひのコタツガにてマルケン塗りを公開。正しい知識がある連中が何もしないからネット上にこういう情報がはびこる事になるんだという苦情だと思ってください。
2008/01/12 いまだにマルケン塗りでググってくる人がいるので当ページを公開。