模型イベントに行こう
written by t.akiba & studioKotatsugaHouse 2005-
last update 2007.01.04
はじめに
いや、この文章を読んでほしい人は、そもそもこういう文章を読むような人たちではないという事は判っているんです。
でも、知ってて言わないのは、ちょっとねぇ、という事で書いてみる事にします。
この文章は、studioKotatsugaHouse内の教育資料に大幅加筆したものです。
「模型イベントを見に行ってみたいけど、どうしたらいいのか判らない」といった場合の参考になればと思い公開するものです。ここに書いてある事を鵜呑みにせず、最終的には各自の判断で良識ある行動をとって下さい。
この文章は一般参加者を対象にしています。ディーラー参加者やコスプレ等の情報は書きません。多分それらに興味のある方は、ある程度経験を積まれている方であると想定しています。この文章は必要ないでしょう。
「こんな文章を書いて、これ以上参加者を増やしてどうするんだ」と思っている方もおられると思いますが、迷惑行為をする人が少しでも少なくなれば、と思い書いています。ご理解ください。
当文章はサークル参加者もディーラー参加者という記載で統一しています。イベントによってはコンセプトや思想的な理由により逆の言い方をされると気に触るかと思いますが、初心者に対する説明をしたいという理由でご了解いただければ幸いです。
模型イベント
イベントのカタログやイベントの公式WEBページ等を見ると、ものを買いに行く人や見に行く人、つまり売らない人の事を「客」ではなくて「一般参加者」というような事が書いてあると思います。
自分もそのイベントを構成する参加者であると心得ましょう。自分は客だとばかりに誰かに対して変な事を要求したりしない様に心がけましょう。ディーラー側は趣味の延長でキットを作成し、趣味の延長でキットを配布している、という考え方をすると良いと思います。
列に並んでいても、周りを見渡せば自分と同じような状況の方ばかりです。周りの人は敵ではありません。あなたと同じ一般参加者です。欲しいものが手に入らなくても、あなたと同じ一般参加者を恨んだりしない様にしましょう。
カタログ等にディーラー参加者も主役、一般参加者も主役、のようなニュアンスで書かれている事がありますが、あなただけが主役という意味ではありません。
準備(情報編)
この文を読んでいるという事は、それなりにインターネットから情報を得れる環境にあると言う事で、それを前提にすれば、まず自分の見に行きたいイベントのWEBサイトや以前行われたそのイベントの体験レポートやイベントレポートなどを見て、どんな雰囲気のイベントなのか確認しましょう。やたら並ぶイベント、参加者が多くなくてほどよいイベント、夏暑いイベント、冬寒いイベント等、特色や苦労点が判る事があります。
公式的なWEBサイトを読み、入場料を確認します。事前に大手模型店や事務局でチケットを請求したほうが賢いイベント、当日入り口で入場料を支払うイベント、等が記載されているはずです。
会場の場所、開場時間、閉場時間を確認します。イベントによっては開場直後すぐは入場行列が出来ているので、それを避けたい場合には開場から30分以上過ぎてから入場したり、午後から入場したりすると良いかと思います。その時には事前に欲しかったものが売り切れているかもしれませんが。何時頃入場列が無くなるかはイベントレポート等で判る場合があります。
自分が到着したい時間が決まったらgoo 路線やYahoo線路情報、駅前探険倶楽部等で到着時間指定で検索してみると、家を出る時間の見当がつくと思います。
トイレの位置を把握しておきましょう。会場内、会場外、出来るだけ多くの場所を頭に入れておくと、いざとなった場合に大変役に立ちます。
事前にガイドブックが入手できる場合は、当日までにガイドブックの注意書きをよく読みましょう。疑問に思いそうな事は大抵書いてあります。繰り返して言います。事前にガイドブックをよく読みましょう。もう一回言います。事前にガイドブックをよく読みましょう。
ええ、わかってますとも。迷惑をかけるような人は、そもそもガイドブックを読まないって事は。
準備(品物編)
商品を購入する場合はお金が必要ですが、一万円以下のものを買う場合、一万円を出すとディーラー側の釣り銭が不足する事態を招く場合があり、あまりよくありません。お金は事前に千円札や小銭に崩して持って行きましょう。銀行によっては平日のATMなら千円札で引き落としが出来ると思います。
小銭は多量に持っていると重くなりますが、皆が札ばかり使っていると釣り銭が無くなる場合がありますので、100円玉、500円玉くらいまでは持参して行きましょう。
2005年2月現在、偽札が流行しています。なるべく新札で持って行った方が良いかもしれません。新札の偽札が出たとの話もありますが、旧札よりはいくらかマシでしょう。相手に札を渡す時は透かしの部分を隠したり四つ折りにして札を渡す等の偽札判別を妨げるようなそぶりをしないように心がけましょう。やましい事が無ければ出来ますよね?
行列をただひたすら待つのが嫌な人は遅く入場するのが効果的ですが、それが出来ない場合は小説や携帯ゲーム機等を持って行くと暇つぶしになるでしょう。ただし携帯ゲーム機は日光により画面が見にくくなります。
暑さ対策、寒さ対策は万全にしておきましょう。たまたま行列待ちの位置が川の上やビルの谷間ですと結構寒いです。また夏場の直射日光にあたる場所で長時間待たされた場合、熱射病にかかる危険性があります。
熱がひどくなったり病気が悪化した場合、適切な看護が出来るとは限りません。周りの人やイベント主催者の迷惑なるので、イベント参加前の体調管理、また当日の体調管理には十分気をつけましょう。
雨が降る可能性がある場合は雨具を用意しましょう。イベント会場近くでは雨具を購入出来ない可能性が大きいので、忘れた場合で必要性に気付いた時は早めに入手しておきましょう。
体が弱い方、病気にかかる可能性がある方は適切な薬を持ってきて下さい。イベント会場には大勢の方がいます。風邪やインフルエンザ、その他空気感染する病気はいくつかあります。
電車で行く場合、利用する電車のプリペイド式カードを事前に購入しておきましょう。JR東日本ならSUICA、首都圏私鉄ならパスネット等、各鉄道ごとにあるかと思います。この購入を怠ると切符購入列に並ぶ必要が出てきます。時間のロスになるので直接自動改札を通過できるカードの購入をお勧めします。
初めて行く場所は地図を持って行きましょう。イベントの公式ページ等で最寄り駅から会場までの地図が記載されていれば、それを印刷するなり携帯電話に転送するなりして持って行きましょう。
会場の住所しか判らない場合はgoo 地図やMapion、Mapfan等で地図を調べて印刷すると良いでしょう。住所はイベント公式サイトやガイドブックに記載されています。
参考:
よつばの。さんのちょっとまて、そんな装備じゃあぶないぞ
当日
清潔な格好で行きましょう。
とりあえず洗ってないジーンズは今日は履いて行くのをやめましょう。くさいから。そのジーンズがあなたのアイデンティティでもです。
洗濯した服を着ていきましょう。下着も。上着も。洗濯している暇が無かったら事前にユニクロ等で新しい衣類を買ってきて下さい。
自分の体臭というのは意外なほど自分では気付かないものです。まわりの人の反応を観察してみましょう。
以前寒い地方の方が「北国は汗をかかないし物も腐らないので服を替えるという習慣があまりない」なんて言っていた事がありましたが、多分模型イベントが開催される場所は寒くても汗をかくし物も腐る場所だと思います。出身地や昔住んでいたところがそうであっても今現在の事を考えて下さい。
出来れば朝、お風呂に入って行きたい所です。特に何日かに一度しかお風呂に入らない人は、今日ぐらい入ってから行きましょう。
歯をみがいてから行きましょう。口と鼻を手で覆い大きな声で「イー」と発音した時に臭うわない程度が理想です。臭うのでしたらモンダミン等の口臭予防剤を使用すると少しはマシかもしれません。
電車等で席に座ったとたん隣の人が立ち上がってどこかに行ってしまったなんて経験のある方は、洗えるものは全て洗って下さい。服も鞄も体も頭も口も。
模型イベント開催日一日だけでもいいですから、お願いします。
食事は済ませて行きましょう。トイレも出来るだけ事前に済ませておきましょう。行列に並んでいる途中で空腹やトイレに行きたくなった場合、一旦列を抜けたあとで同じ場所に戻れるとは思わない方が良いでしょう。また最後尾に並び直しです。隣の人が許しても周りの人が許さない風潮がある事があります。それにトイレが近場にあるとは限りません。
周りに人がいる時はタバコは控えましょう。長時間の行列の時には愛煙家はつらいと思いますが、そこでタバコを吸われると、あなた以外の嫌煙家全てがつらいです。目安として、喫煙者から風下30mは煙いです。ただでさえ愛煙家は社会的に迫害を受ける立場にあるのに、嫌煙家に対して神経を逆撫でする行為をすると増々タバコ批判を強める口実を作る事になります。
愛煙家は「タバコの吸い殻を捨てなければいい」「煙が見えなければいい」と考えていても、嫌煙家は粒子が鼻に入っただけでも鼻炎を起こす人もいますし頭痛を訴える人もいます。
「禁煙場所では吸わない」ではなく「喫煙場所以外では吸わない」と心がけて下さい。
入場待ち列や購入待ち列等で横入りをする人がいますが、やめましょう。たまに横入りをする人が「正当な理由」を主張する事があります。イベント非公認の自称ボランティアが決めた横入りや特定ディーラーが勝手に場所取りを斡旋している事がありますが、欲に目がくらんで人にいえない事をするのは止めましょう。また、こういった行為をしている人に納得がいかない時はイベント主催者に連絡しましょう。
会場内で
会場内では走ってはいけません。机のそばを高速で歩くのもお薦めできません。振動で展示物が倒れる危険性があります。
特別な断り書きが無い限り、展示物を触ってはいけません。あなたのその汚い手で触ると、せっかくの塗装が汚れてしまいます。手の油も結構塗装を汚しますし。
食べ歩きはやめましょう。会場内で売っている食品であっても。こぼしたりすると会場や展示物を汚します。
ディーラー参加者の売り子さんが忙しそうにしている時は、あまり変に話しかけると迷惑になります。状況をよく確認し、節度ある行動をしましょう。
暇そうにしている時は、声をかけて展示物について質問や感想を言ってみるのも良いかもしれません。ただ、話し込む場合は他の一般参加者の通行や展示物を見る方の邪魔にならない場所でしたほうが良いと思います。
購入時はなるべく釣り銭が出ない様に、値段ちょうどのお金を出す様に心がけましょう。どうしても札を細かくしたい場合は会場内で中古品販売業者が出店している場合はそこで何か安いものを買うという技もありますが、あまりこういうのは言わない方がいいのかな。
会場内で不正行為や違法行為を目撃した場合は速やかにイベント係員に連絡しましょう。不幸な事ですが、会場内にはあまりよろしくない目的でそこにいる人が必ず何割かはいます。助けや協力を求められたら協力しましょう。
テレビ等でオタクと呼んでいる人が何か事件を起こすとマスコミが会場前などで取材をする場合がありますが、話しかけられても無視しましょう。取材と言っても話を聞く前から番組のシナリオは完成していて、あとはオタクが番組内容に都合の良い発言をする映像を撮ってくるだけ、といった状況でしょう。考えすぎだと思う方は、google等で調べてみると面白いかと思います。
携帯電話ですが、会場や携帯電話会社、携帯電話の機種によって全く入らない場合があります。同会場で以前行われたイベントでは入ったという経験があっても、その時は電話会社のアンテナ車が来ていたのかもしれません。
壁際や窓際は比較的電波が入りやすいので、友人知人と連絡を取り合う必要がある場合は壁際にいくたびにメールを確認すると良いでしょう。通話はその時相手に電波が届かなければなりませんが、メールですとメール確認時にだけ電波が届けば良いわけですから、メールをメインに使用すると良いかもしれません。
事前にWEBで原型師サイトやディーラーサイトで配布物が公開されるケースもありますが、ホームページを持っていないディーラーも多く存在します。ホームページで配布物を公開しないケースもあります。事前の下調べは大事ですが、当日の会場では人気ディーラーだけでなく全ての展示物を見て回ると、あなたのツボにはまるものと巡り会う事があるかもしれません。個人的にはカタログを閉じて会場の端から全部廻るという見方が好きです。
見て廻る時に、中には自分の趣味にあわないものもあるかと思います。あまり出来の良くないと感じるものもあるかと思います。その時に「いらねぇや」や「これはパス」のような言葉を口にして立ち去る人がいますが、こういった行為は慎みましょう。机の向こうでもちゃんと聞こえています。ディーラー参加者がどんな心境でそこに立っているか配慮しましょう。あなたがそう感じるのですから、今まで机の前を通り過ぎる人の態度からディーラー参加者は精神的に参っているかもしれません。それに、その展示物はあなただけの為に置いてあるわけではないのですから。
写真撮影について
写真の撮影はイベントにより自由に撮影可能だったり、許可が必要だったり、撮影禁止の場合があります。ガイドブックやパンフレットを読み、また不明な場合は係員に質問してみると判ると思います。まずはガイドブックやパンフレットを読んで下さい。
写真撮影をしたい場合は、そのディーラーの方に一言言ってから写真を撮り、撮り終わったら挨拶をしましょう。勝手に撮って、スッといなくなるのは感じが悪いです。後日ホームページ等で写真を公開したい場合はこの時に一言言っておくと、あとでもめ事が減るかもしれません。
写真を撮る時は、あまり展示物にカメラを近づけない様にしましょう。画面全体に撮りたい場合、または一部をアップで撮りたい場合は展示物にカメラを近づけたくなるのは判りますが、展示物に接触したり壊してしまった場合、謝っても謝りきれません。あまり酷い人が多いような場合は撮影を敬遠するような風潮になるかもしれませんし。
それでもアップで撮りたい場合は、もっといいカメラを買いましょう。少なくとも小型のトイデジカメでは駄目でしょう。携帯電話で撮影など、もってのほかです。少なくとも展示物から50cm以上離れて撮影できる機材の購入をお勧めします。机の上に体や腕を乗り出さないと撮影できないようなカメラは使用しない方が賢明です。
というか小さいカメラや携帯電話で撮っても、ピントが合わないか、手ブレでぼやけた写真になるだけだと思うのですが。
写真を撮る場合は、後ろにも注意しましょう。鞄や傘等の荷物が後ろに突き出していて押された拍子に前のめりに倒れても、悪いのは倒れたあなたです。
ちなみに、2004夏のワンフェスの時、最もマナーが悪い人達とされたのが「小型デジカメや携帯電話で写真を撮る人達」でした。展示物のすぐそば、5cm以内くらいにカメラを持って行って撮っていましたから。
参考:
ABC-labo.comさんの撮影時の注意点について
帰ってきて
購入したものがある場合は、当日か翌日くらいにパーツの不足分がないか、欠品が無いかを確認しましょう。基本的に少数生産な為、ディーラー側もイベントがだいぶ過ぎてからパーツが無いと言われても困ると思います。
欠品があった場合、キット付属の紙に連絡先が記載されていればそこに連絡すると欠品に対応してくれる場合があります。この場合、ディーラー側が欠品を送るのは「あくまで親切心でやっている事である」という認識でいましょう。基本は現状渡しなので、交換に応じてくれなかったり不足品が送られてこなくても文句を言うのはやめましょう。
もともとガレージキットという分野は、欠品パーツがあっても自分で補える能力を要求する分野です。無いパーツは自分で作るという事も必要ですが、そんな上級者の能力を持っている人には当文章など釈迦に説法ですね。
キットに連絡先が無い場合、以前はイベント主催者に連絡すると内容をディーラーに取り次いでもらえる事があったようですが、最近そういう話は聞かないのでイベント主催者に問い合わせるのは止めましょう。カタログ等で取り次ぎや連絡先の開示は行わないと明言しているイベントもあります。イベント主催者は基本的に公開されていない個人情報を第三者には公開しないと思います。ディーラー側が情報等を公開しないのはストーカー被害対策等によるものですので、やましく思わないで下さい。
レジンキットは剥離剤をすぐに落とした方がいい、という説もあるので、ガレージキット制作入門等のページを読み、適切な処置をすると良いと思います。
購入したかったけど売り切れていた商品が転売屋の手によりネットオークションやレンタルケース、大手古本屋で出品される場合がありますが、入札や落札、購入をしてはいけません。
脱法行為なので犯罪ではありませんが、模型イベントの今後に対して悪影響を与える行為です。転売屋にしてみれば自分の行為によって模型イベントが下火になってしまっても、また別の鴨を探せば良いだけの事ですから。
詳しく知りたい方はgoogle等で転売などのキーワードで検索してみてください。
個人的見解ですと、転売屋の人達は一般的な中古品販売業とは同じに考えていません。ヒントとして、詳しく書くと何をされるかわからない、と言っておきます。
おわりに
禁則事項ばかり目立つ文章となりましたが、最後に
他人に迷惑をかけるな
はしゃぎすぎるな
という事を頭に入れ、イベントに参加されたら良いと思います。
それでは、良いイベントを。
変更履歴
2005.02.15 公開
2005.02.16 タバコ、食べ歩き、携帯電話、欠品で連絡先が無い場合、転売屋捕捉、を追加。誤字の修正。
2005.02.17 朝にサポート先を明記、誤字の修正。夜にマナーの悪い人のケースの追加、転売関係を加筆、「、」が多すぎるので減らし、等。
2005.02.19 くさい人への記述を追加。
2005.08.16 準備(品物編)、写真撮影についてに参考リンクを追加。薬持参を追加。携帯ゲーム機補足。
2006.03.12 てにをはと「、」を修正。キットの欠品への対応を時代の流れに会わせて修正。横入りの自粛を追加。細かいニュアンスを各所修正。
2007.01.04 誤字の修正。gooの追加。