☆はじめに
高飛車で暴力的な許嫁を迎える為に巣作りに励むことになった主人公(ドラゴン・雄)になって巣に入ってくる冒険者を倒し、町や村を襲い、貢ぎ物や生け贄を得て巣を拡張していく巣作りSLGです。
このメーカーはゲーム性を追求している数少ないメーカーという評判ですがそれ故かシナリオ方面やキャラの確立に難があるという印象を持っている為今まで興味はありましたが手は出さずに来ました。
もちろん戦略、戦術級を問わずSLGと名のつくものは全て苦手だという嗜好もありますが。
今回その禁(?)を破ってまで購入したのは単に巷の評判でヒロインがツンデレだと言うことを聞き及んだからですが。
取り敢えず評判的にはこれまでのゲームよりも遊びやすく、SLG本体もそれなりに楽しいらしいのでそれならまぁ手を出してみるか、と言う感じで購入。
☆内容など
前置きにも書きましたが主人公は竜族の習わしとして許嫁を迎える為に人間界に降りて巣作りをするドラゴンです。
よくあるファンタジー物のドラゴン像、即ち「人里離れた山の中に巣穴を持ちたまに人里に降りてきては貢ぎ物や生け贄を要求し、気が向くと街を襲って破壊の限りを尽くす」というドラゴンそのものになって自分の巣穴を拡張するというのが本編のバックボーンです。
とは言っても主人公は些か気が弱く、許嫁の雌竜”リュミス”も嫌いではないがはっきり言って怖いのでだらだらと巣作りに時間をかけて現実逃避をしていたという甲斐性無し。
思考も比較的穏健で巣に入ってくる者には容赦はしないが敢えて暴虐の限りを尽くすと言うほどでもない主人公です。
そんな主人公になって人間を含めたヒロイン達との関係を楽しみつつ巣穴の拡張に励むのが結構楽しいSLGのシナリオ仕立てのゲームです。
ヒロインはメインヒロインで主人公の許嫁にして幼馴染み、竜界最強最悪の誉れ高い「リュミス」。
主人公の巣穴がある森の近くに住む獣人族の村から送られた生け贄の少女「ユメ」。
没落した騎士の家系に連なる騎士志願、主人公を倒して父の行いの所為で負った汚名を雪ぎ騎士返り咲きを夢見る「フェイ」。
主人公の巣穴がある国の王女、暗愚な父を持つが故に国政に頭を痛めるしっかり者「ルクル」。
が目に見えるヒロイン達です。
これ以外に二周目以降から姿を見せる竜を目の敵にする女魔導師ドゥエルナ、主人公の巣穴の世話をするメイド、メイド達を束ね巣穴の拡張や戦いをマネージメントする会社から来ている執事のようなクーにもエンディングがあります。
メイン以外はまぁおまけですがそれなりに愛着が湧くキャラなのでエンドがあるのは嬉しい心配り。
キャラ設定やストーリー、詳しいところはメーカーサイトをご覧下さい。
メーカーサイト
☆グラフィック
グラフィックは可愛い系ですがやや頭身高めのまとまった絵柄です。
原画は悪くないし表情なども良く個人的には好きなタッチで問題なし。
グラフィック化はあっさり気味で美麗と言うほどではないが粗のない絵です。
背景などもう少し描き込んであると画面が締まると思うのですがそれだと背景が人物を喰ってしまうのでこのくらいが良いのかも。
SLG画面などはもっと力を入れても良いと思うのですがその辺はこの種のゲーム業界のこの種のゲームとしては平均的と言えましょう。
後はお好みだと思うのでメーカーサイトなどで見てみると良いでしょう。
☆サウンド
音声はフルボイス。
演技のレベルにも問題はなく音楽も耳障りでもなく印象には残りませんでしたがゲームの邪魔になるような物ではなく合っていたと思います。
男性も喋りますが個別にオンオフが出来る仕様ではないので聞く羽目になります。
あまり登場頻度は高くないので気にしなくても良いのですが耳障りと感じる人はいるかも。
SLG画面ではキャラ声を発声するのですがこれが結構耳障りで感じは出ますがあまり意味がないような・・・
☆システム
このゲームは巣を拡張し、金を貯めるというのが基本的な目標なので所謂経営ゲーム的な面があります。
巣の拡張には先立つものがないといけませんのでお金を貯めるのが先決ですがその方法は「街を襲って貢ぎ物を得る」「巣に入った冒険者を倒して身ぐるみを剥ぐ、人質から身代金を得る、巣に入った冒険者を宿屋や店に集めてお金を使わせる」などです。
他にも細かく色々ありますが基本的にはこの二種類がお金を貯める方法と言えましょう。
金を貯めて迎撃モンスターを召還し、巣を拡張して敵を迎撃、人質を貯め込んでH練習や身代金を得ると言う一連の行為を回していくことでゲームは進行します。
基本的に巣作りやモンスター召還、出撃やヒロインとの会話を行う日常パートと巣に入ってきた敵を撃退する迎撃パートとも言うべき二種類がありますが迎撃パートは見物しているだけなのでパートと言うほどではないか。
概ね遊びやすいシステムですが街を襲うとそのまま必ず迎撃パートになってしまいその間セーブが出来ない、など日常パートで選んだコマンドが終了しても殆どの場合迎撃パートが発動してしまうので「街の襲撃」が失敗しても迎撃パートが終わるまではロードが出来ないと言う面倒臭さがあります。
この辺がゲーム性の為に意図的に作り手が制限をしているのか天然なのかは判りませんが「どうせプレイヤーはする」のでこの辺は遊びやすいようにシステムを組んでくれた方が不満度は下がったのではないかと思います。
難易度的には最初のプレイではユメ以外のハッピーエンドに達するのは至難の業でしょう。
このゲーム、ハッピーエンドを迎えると育てたモンスターを次回に持ち越せるので周回数をこなすほどプレイが楽になります。
(バッドエンドでも最低限の二体は引き継げますが)ある程度育てたモンスターを引き継ぐ為にも最初はユメエンドを目指してプレイしさっさと二周目以降に突入するのが吉です。
この引き継ぎシステムのおかげでSLG的な思考が好きじゃない、苦手だという人でも何とか進めることが出来る難易度になっているのは親切かな。
☆総
しつこく書いているようにこのゲームは基本的にリュミスを迎える為に立派な巣を作ることが一番の目標です。
が関わるヒロインは当然ですが生け贄で来るユメやとっつかまえる事になるフェイ、ルクルの方が会話内容やエッチの回数も多いので思い入れ的にはリュミスよりも人間系正ヒロイン三人組の方が深くなります。
巣作りSLGも評価を極めようと思わなければそれほど楽しい物ではありませんしバリエーションを増やしてもイベントなども起きませんので(一部例外有り)取り立てて奥行きがあるわけでもなくあまり楽しいものではありません。
とは言えこのゲームの真骨頂はユメ、フェイ、ルクルのヒロイン達の魅力でしょう。
ユメに関して言えば単に会話の回数でエンドまで行きますので難易度的には攻略は「死ぬな」で済むと思いますがフェイはかなり強いので捕獲は厄介です。
ルクルもルクル自身は戦いませんがゲームの展開的に城攻めが出来るところまで行き、更に城を壊滅させる一歩手前まで攻略する必要があるのでかなり大変です(調整が)。
首尾良くルクルを捕らえても城攻めの後には軍隊がてんこ盛り攻めてくるので巣の内装やモンスターが充実していないと大変なことになります。
ただフェイもルクルも苦労して捕らえたなりのキャラですので会話や行動が結構楽しく可愛いです。
シナリオ的にはフェイなどはブラッドに惚れる展開が急すぎて「ナニソレ?」という感もありますがその辺に目を瞑ればひたすらにブラッドに尽くす姿は可愛い。
フェイもルクルも楽しいツンデレヒロインです。
リュミスも高飛車に主人公をいじるおっかない女、と言う風を見せつつも実は・・・と言う辺りツンデレと言えましょう。真ツンじゃないですが。
結局の所かったるくそれほど楽しくない(と思える)SLG部分もこうしたヒロインの反応や成り行きが気になるので何とかモチベーションを保ちつつ進めることが出来るのでバランスはよいと思います。
難易度的にも前述したように周回をこなせばある程度SLGが苦手な人でもクリアできるようになると思うので親切設計。
ツンデレヒロインとお手軽SLGの組み合わせが気になる人にはお勧めできると思います。
特筆すべきはエピローグで久しぶりに私好みの幸せなその後系の甘甘なエピローグが堪能できて嬉しかった(笑)
ドュエルナがあまりに適当なシナリオだったのが苦労の割に報われずその点のみ残念。
☆お気に入り
フェイとルクル
フェイのシナリオはフェイがブラッドに惚れるようになる理由がちょっと上手く描かれていなくてどうかと思いますがそこさえ目を瞑れば可愛くて良し。
ルクルは典型的なしっかり者の王女様ですがやっぱり可愛い。
リュミスもエピローグは悪くないのだが本編ではあまりイベントがないので展開としてはちょっと弱い。
☆ハッピーエン度
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆点数
75
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