☆はじめに
変なパロディをベースに美麗なグラフィックで妙なシナリオをひねり出す、と言うイメージが強い同社ですが鬼畜モノかと思いきや意外とまともな純愛モノだった「コズミックマン」などリリース情報と中身が食い違うモノもあり侮れません。
事実「コズミックマン」は製品情報を読んだ限りではどう見ても鬼畜モノですしね。
と言うことで気にはなっていたのですがヒロインが3人だとか選択肢がほとんど無いとか言われていたので様子を見ていました。
購入したのは妙に安く売られていたからなのですけど。
巷のレビューサイトの評価はほぼまっぷたつと言って良いでしょう。数も少ないので評価の割れ方には偏りがありますけど。
と言うことであまり期待せずにプレイしたらかなり気に入ったのでその辺をばレビュー。
☆内容など
主人公はさほど熱心ではないものの折角だから教員免許でも取っておくかと教育実習を申し込んだところ祖父が学園長をしている田舎の高校に行く羽目になった大学生です。
舞台になっているのは「龍神様」信仰が残る田舎町。
それほど古くさくはないものの携帯の電波は入らない程度の田舎町という感じです。
その祖父に呼ばれて出向いてみれば泊まるところはないわ、実際に教育実習が始まるのは一月も先だわと踏んだり蹴ったり。
その祖父母の家で出会ったのが主人公が教育実習で赴くことになっている学園の3人の生徒達。
そのうちの一人の生家がアパートを経営しているというのでそこに住むことになり、住むところは確保出来たものの実際に実習が始まるまでその学園の用務員をすることになります。
と言うのがまぁ発端でここから物語は始まり3人のヒロインと出会いちょっとした悪戯心から厄介事に巻き込まれ主人公は余命一月と宣告されることになります。
詳しくはメーカーサイトを見てください
メーカーサイト
☆グラフィック
原画は創美のいつもの人ではありませんが取り立てて破綻しているところもなく画風的には萌系とは異なりますが雰囲気には合っていたし個人的には好きな感じです。
癖があると言えばあると思うのでその辺はメーカーサイトのサンプルを見てください。
俗に「創美塗り」などと言われることもある同社のグラフィック化技術は今回も発揮され絵的に良い感じです。
もう少し華があった方が目立つのにとは思いますがこれはこれで。
ここにはイベント画像があった方がと思うところもあり、ヒロイン3人にしてはやや一枚絵が少ない気もしますが致命的と言うことはないかと。
やや地味目ながらグラフィックはなかなかいいですね。
☆サウンド
BGMはおしなべてアコースティックな感じの旋律が多く、ギター、ピアノ系の静かな曲はテキストや設定の雰囲気にも合っており結構気に入りました。
音声はヒロインのみフルボイスですが声優さんの演技が今ひとつ固かったり音質が悪いのかノイズが乗ることもありその辺は不満。
ただ演技も興が殺がれるほど酷くはないしノイズも気にしなければ無視出来る程度だと思います。
☆システム
システムはオーソドックスなADVですが選択肢は2カ所しかありません。
ので、ゲームと言うよりはデジタルノベルに近いような気がします。
セーブ、ロードは20カ所、クイックセーブあり、ホイールによるバックログありと一通り揃っています。
が、全体的に動作は重くメニューのフォーカスの移動やロード、セーブの反応が遅いのでちょっと遊びやすさは殺がれます。
スキップもありますがメニューによる「既読スキップ」のオンオフとCtrl押しっぱなし中のスキップだけで所謂「スキップボタン」による固定スキップはありません。
またスキップ速度も速くはないのであまり役には立たない感じです。
とは言えスキップをする機会ってあまり無いので後述する選択肢の手前でのセーブさえしておけばあまり使うことはないのではないかと思います。
選択肢はプロローグ終了時に出る”ヒロイン選択”と全てのヒロインのエピソードを見終わったときに出る”エピローグ選択”の2カ所だけです。
最初の”ヒロイン選択”には攻略規制がかかっているので「加代」と「遙凪」の2人をクリアしないと「雪乃」の選択肢が出ません。
選択肢の解放フラグは途中ロードでも適用されるようなのでプロローグの終わりで選択肢が出る直前でセーブしておけばプロローグをやり直さなくても大丈夫です。
☆総
「龍神様」信仰、「龍神様」と呼ばれる少女、そして余命一ヶ月と宣告される主人公。
この3つを軸に各ヒロインの心の傷と悩みを主人公が解決して行くというのがメインの物語です。
ただ「龍神様」もおどろおどろしいような扱われ方ではなく作中全編にわたってオカルト色はほとんど無いのでどっちかというとホームドラマ系のノリの方が強いかも知れません。
プロローグ終了後の初めに出る選択肢でヒロインが選択されるとそれ以降は完全に個別ルートに乗りますので主人公と対象ヒロインとの関係を残った2人のヒロイン(候補)達と共に追っていくというシナリオになります。
各ヒロインとも現在悩みを抱えておりその悩みはと言うと子供の頃に起きたある出来事に端を発しております。
その出来事自体に雪乃と「龍神様」が関わっており今回の主人公へと降りかかった災いと現在のヒロインの悩みの解決が一つになります。
結局各ヒロインルートでは主人公がこの悩み解決と自分の問題の解決に奔走し最後解決されてハッピーエンドという流れは変わりません。
伝奇要素が思ったよりも弱かったり、最後の解決策が期待したほどオカルティックなものではない、と言ったそっち方面を期待している人にとっては少し肩すかしを食うような物かも知れません。
しかし冒頭、教師になることにそれほど熱心ではなかった主人公が好きになった子の為に力になってやりたいと思う気持ちから教師になることを考え始め当初それほど重く考えていなかった「余命一月」という現実を真剣に考え始める辺りから話が転がり始めます。
(余命一月、と言うことを重く捉えない主人公ってのもどうかと、と言うつっこみはこの際無しという方向で)
それぞれのヒロインルートでのヒロイン達の心の傷や悩みと「龍神様」、当代「龍神様」の雪乃、主人公の関係はほのぼのとした田舎町の雰囲気と相まってどこか濃密な、絆のようなものを感じてしまいます。
このゲームのヒロイン達の魅力を最も引き出しているのはこの「主人公との距離の近さ」と「思い詰めたまなざし」なのかもしれません。
物語中ヒロイン達はまっすぐに主人公を見つめてきます。
その想いは行動へと移り、周りから見守られ、冷やかされ、お互いがお互いを想い合う空気のようなものが生まれていきます。
私はこの濃密な関係の匂いのようなものに惹かれました。
後、メーカーサイトにもありますようにちとエッチ度は高めです。
シナリオの構成が
”「出会い」→(ヒロイン選択)→日常→「くっつく」→日常→「クライマックス」→「シナリオの終端」(全員クリアすると各ヒロインエピローグ)”
となっている為くっついた後の日常が物語の後半を占め、いちゃいちゃしている期間がちゃんと描かれています。
いちゃいちゃしている期間は複数回エッチな上に妙にヒロインの方から求めてくるシチュエーションが多いので濃いいですね。
個人的には少し不自然なくらいヒロインが求めてくるのが(淫乱って程じゃないですけど)気になりましたがこの辺は素直にサービスと割り切っておいた方が良さそうです。
と言うことで選択肢が事実上ゲーム性に関係ない部分にしかない為ゲームとは言い難い、ヒロインが少ない、オカルトって程じゃないし最後の解決策もあまりそれっぽくない。
と言ったメーカーが本来提示している面白さを求めると失望するかも知れませんが引くほど深くはないが漂う雰囲気のオカルト性、健気なヒロイン、萌エッチ、田舎ものの雰囲気と言った要素に惹かれる人ならば損しないと思います。
実も蓋もない書き方をすると
「水月(F&C)」+「みずのかけら(イオ)」+「てんしのかけら(イオ)」+「リフレインブルー(エルフ)」+「YU-NO(エルフ)」÷4=「天ツ澪―あまつみよ―」
と言う感じでしょうかね。
個人的に家族関係と自らの夢に悩むヒロイン「遙凪」におおいに惹かれました。
ヒロイン3人娘の保護者を自認するしっかり者、クールで直截な物言いと優柔不断でのんきものに見える主人公にきつく当たる彼女が惚れると甘えてくる様が何とも言えません。
不器用ななりの愛情表現と嫉妬する姿も可愛く、所謂ツンデレヒロインとして上質です。
制作会社の活動終了に伴う会社解散と言うこともあり新品が安く売られていたりしますが(私のがそれです)もう少し素直な商売をしていたら又違った評価をされていたのではないかと思うと少し残念な気がします。
勝手な感想ですけどね・・・
☆お気に入り
上に書いたとおり遙凪。
あのツンデレぶりが堪らない。
☆ハッピーエン度
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
☆点数
80
|