いつもの病気がでました。ハマるゲームがあると、
好き勝手にエンディングやエピローグを考えたりします。
ということで、今回はサークル
「TYPE-MOON」から発売されている
「月姫」です。
勝手にエピローグ:タイトル「月震」


シ「ちょっと、なんで貴方までいるんですか?」
ア「シエルだけ、志貴の家族に紹介されるなんて 不公平じゃない!」
秋「 ・・・・・・ 」
翡「 ・・・・・・ 」
琥「志貴さん、モテモテですね。」
志「琥珀さん・・・ 。」
 殺気を正面から感じる。ギロッと、恐ろしい形相で 秋葉と翡翠が睨んでいる。
 二人からの無言のプレッシャーが、怖い。
秋「兄さん、そちらの方々 紹介していただけないかしら?」
志「えっ・・・ ああ。こっちの制服の女性(ひと)がシエル先輩で・・・ こっちが、アルクエイドだ。」
ア「なんか、いいかげんね。もうちょっと紹介の仕方ってものがあるでしょうに。」
 本当のことを言えっていうのか? 秋葉たちが、本気にするとは思えない。かといって、他に何て紹介したらいいっていうんだ。
ア「手っ取り早く、”恋人”だって言ってくれればいいのに。」
志「なっ・・・ なにぃっ!」
シ「なっ・・・ なに言ってるんですか貴方はっ!」
 シエルが、アルクェイドに襲いかかろうとしたのを慌てて止める。
秋「なっなっなっ・・・・・・ 」
琥「そうなんですか? じゃあ、私と翡翠ちゃんは もう用無しってことですね。」
志「ちょっ、ちょっと琥珀さんっ!」
 それは、俺に死ねってことですか? それ以前に、秋葉に殺される。
秋「兄さん・・・ 本当なのですか? 冗談ですよね?
 私たちとあんなにしといて、まだ足りないのですか?」
 あ・・・ 秋葉の黒髪が紅く変わっていく。
 やばい。。。
 それは、押さえていたシエルも感じたようで 顔つきを変えている。
ア「ふぅ〜ん・・・ おもしろい血を持ってるわね。でも、私の敵じゃないわね。そこそこ力があるようだけど、私には勝てないわ。それでも、殺るっていうの?」
 アルクエイドも、戦闘モードを立ち上げた。このままでは、本当に殺し合いが始まってしまう。それも、三つ巴の戦いが。
志「やめろよ、アルクエイド! 秋葉もだっ! 秋葉も、アルクエイドには勝てないことぐらい わかるはずだ。」
秋「そんなこと・・・ やってみなければわからないわ。」
 強がってはいるけど、震えている。
シ「待ちなさい! 貴方の相手は、私のはずでしょ。」
 両腕をブンブン振り回し、シエルは癇癪を起こしている。
志「わあっ、やめろってシエル!」
ア「 ・・・ふぅ〜、やめやめ。志貴が、嫌がることはできないわ。
 そう言って、アルクエイドは矛を収めた。
秋「ちょっと、怖じ気づいたの!」
志「秋葉、やめろっ!」
秋「うっ・・・ だって・・ 」
翡「秋葉さま、おやめください。意地になるのも、どうかと思います。」
秋「翡翠っ、あなたは悔しくないのっ! あんな、どこの馬の骨ともわからない人に 兄さんを盗られるのよ。私は、嫌っ。やっと、想いを伝えられたのに・・・ 。」
翡「私は、志貴さまを信じます。きっと、私たちが納得できるだけのことを 話してくださいますでしょうから。」
 翡翠の言葉が、グサグサと突き刺さる。
 自分が、この状況を招いたとはいえ 打開策が・・・・ ない。
琥「そうですね。翡翠ちゃんの言うことも、もっともですわ。志貴さん、どんな言い訳をしてくださるか 楽しみにしてますよ。」
 琥珀さんの言葉が、さらに追い打ちをかける。
 もう、覚悟するしかないのか・・・・ な?
ア「ねえ、志貴。私も、ここに住んじゃダメかなぁ〜。アパートから、わざわざ通ってくるのも面倒だし ここに住めばいつも志貴と一緒にいられるでしょ。」
志「はい?」
シ「 ・・・ 」
 押さえているシエルから、何かが切れたような音がした。
シ「志貴くん、離してください。お願いです。」
 シエルは、静かに淡々と言葉を発した。この感じは・・・ もう、抑えがきかないところまできてるってことだ。さっきのは、堪忍袋の緒が切れたってこか。
秋「兄さん・・・ それは、遠野家当主として 認めることはできません。」
 うわぁっ、また秋葉の殺気が膨れ上がった。
 やばい。やばすぎる。。。
秋「琥珀、翡翠、席を外しなさい。」
翡「それは、できません。」
秋「死にたいの?」
 完っ全に、秋葉は殺るつもりだ。
志「わ、わかった。秋葉、全て話すから 争うのはやめろっ!」
秋「 ・・・兄さん、本当ですか?」
志「ああ、本当だ。アルクエイドとシエルのことも、俺の気持ちも 洗いざらい話すからやめてくれ。」

 それから、アルクエイドが吸血姫であることも シエルが協会の秘密部隊の一員であることも これまでの全ての経緯も 全て包み隠さず話した。もちろん、アルクエイドとシエルにも 秋葉たちのことを話した。

秋「兄さん、それを信じろというの?」
志「事実だ。」
秋「たしかに、その話の通りだと シキのことは辻褄が合うけど・・・ それでも、信じられないわ。」
志「秋葉、遠野の血のことを棚に上げにするのはよくないぞ。」
秋「わかっているわよ。アルクエイドさんから受けたプレッシャーに脅えた遠野の血は、事実だもの。それに、精神的にシエルさんを拒絶していたのも 相反するものへと反応だってこともわかったけど。。。」
 秋葉は、ジッと俺を見据えている。琥珀さんも翡翠も、秋葉の後ろで俺を見ている。
シ「はぁ〜、志貴くんの節操のなさには呆れますね。アルクエイドだけならまだしも、妹さんやかわいいメイドさんたちにも 手を出していたなんて・・・ 。」
 シエルが、呆れるのもわかるけど 好きになったものを手に入れたいという欲望には勝てなかっただけだ。
ア「なんなら、シエルは手を引いてもいいのよ。私は、その方がライバルが減ってうれしいけどね。」
 アルクエイドは、他の人は関係ないとばかりの態度をとって 俺に抱きついてきた。
 あっ、そんなにくっつくと・・・ 秋葉の突き刺さるような視線が強くなって・・・ 
シ「 ・・・いいんですよ。志貴くんが、私のこと愛してるって言ってくれたこと 信じますから。それに、私の志貴くんを好きだって気持ち それは嘘ではないですから。」
ア「ちっ、あきらめればいいのに。」
 アルクエイドが、舌打ちする。それよりも、シエルの言葉が胸にジンとくる。
翡「自分のしたことを棚に上げて、何を感動してるんですか 志貴さま。」
 すかさず、翡翠の鋭い突っ込みが入る。
志「ひ・・・ 翡翠・・・ さん?」
翡「しりません。」
琥「翡翠ちゃん、そうやって志貴さん虐めちゃだめですよ。翡翠ちゃんも、シエルさんの言葉 気になってるでしょ。私も、シエルさんの気持ちわかります。自分の気持ちは、本当のことなんですもの。
 それに、志貴さんに私たちが必要だってことには 変わりがありませんからね。翡翠ちゃんが、お役目をやめるのでしたら 私がその分がんばって志貴さんに愛してもらいますね。」
翡「姉さん、私 やめるなんて言ってない。私だって、志貴さまのこと愛していますから 何があっても側を離れたりしません!」
 琥珀さんと翡翠の気持ちは、決まったようだ。後は、秋葉か。これが、一番難儀だ。
 遠野家当主として、プライドがある。誰よりも、長く強く俺を想い続けてきた自負もある。そんな秋葉が、簡単に流れに身を任すはずはないだろう。
秋「なんで・・・ 」
志「は?」
秋「なんでなのよ。みんな、簡単に自分の気持ちに素直になっちゃうのよ。兄さんを許しちゃうのよ。
 悔しくないの?
 愛してるって言ってくれたのに、他の人にも同じ事言っていたのよ。
 それなのに、信じられるっていうの?」
 秋葉は、涙目になっている。いつもの、高ピーな感じが一切なく 幼い頃一緒に遊んでいた頃の秋葉のようにみえる。それが、遠野家当主という枷が外れた 本当の秋葉の姿なのだ。
ア「志貴の気持ちは知ってるんだし、自分の気持ちもはっきりしてるんだから それでいいんじゃないの?」
シ「そうですよ。自分の気持ちを偽っても、いいことないですからね。」
ア「あら、意外。シエルと意見が合うなんて。」
シ「志貴さんのことだけです。」
 つい先日まで殺し合いをしていた二人からは、想像もできないくらいの温かい波動を感じる。
 不思議なくらいの現実。
 夢のような事実。
琥「秋葉さま、素直になりましょ。夢もいつかは覚めますから。覚めない夢はないって信じましょう。これ、私の実体験ですから保証します。」
 悪夢から目覚めた琥珀さんの言葉は、説得力がある。
 でも、これは現実なんだ。みんな、普通じゃないってことも。
秋「そうね。でも、これは現実だわ。兄さんが、不埒な行いをした結果ですもの。
 ・・・私も、覚悟を決めました。アルクエイドさんには、この屋敷に住んでもらいます。呉々も、勘違いなさらないように。住まわせるのは、私の目の届く範囲で 監視するためですから。」
シ「あの・・・ 私も、ここに住まわせてもらえないでしょうか? あ、もちろんお家賃は払います。」
 シエルは、アルクエイドが秋葉の許しが出たことで 後れを取るまいと話を持ち上げた。
秋「 ・・・・ 」
シ「ダメですよ・・・ ね。私たち、相性悪いですし。
 いいんです。志貴くんとは学校で会えるし 学校の帰りに私の部屋に志貴くんが寄ってくれればいいことなんですから。
 私なら・・・ 教会の機関から、遠野の血を押さえる手だてを探すこともできるかもしれないですけど・・・ 余計なお世話ですよね。」
秋「くっ・・・ わかりました。シエルさんの居住も、許可します。
 ・・・さっき言ったこと、本当でしょうね?」
シ「はい、わかってます。できる限りのことは、いたしますよ。
 秋葉さん、ありがとうございます。これで、いつも志貴くんといられてうれしいです。」
 顔を真っ赤にして、目を潤ませたシエル。その姿が、かわいくって 今すぐにでも抱きしめたい。でも、そんなことすけば 瞬時にこの場が地獄と化すことは 目にみえている。
秋「言っておきますけど、店子になった以上 アルクエイドさんとシエルさんにも この屋敷のルールは守っていただきますから そのつもりで。」
 二人が屋敷を抜け出すことは、俺よりも遙かに容易なことだ。それからも、門限なんて最初からないようなものだ。
志「琥珀さん、翡翠、二人のことは客として扱わないでもいいから。同居人程度の気持ちでいいと思う。」
琥「はい、わかりました志貴さん。私と翡翠ちゃんには、皆様と渡り合えるような力はありませんから 私たちは私たちにできることをいたしますね。まあ、どちらにしろ 私と翡翠ちゃんが志貴さんのお相手をしないと 志貴さん弱ってしまいますからね。」
翡「そうです。志貴さまの命は、私と姉さんが握っていると言ってもいいくらいですから 私たちのこと無碍にすることできませんよね。」
 まったくもって、その通りです。
ア「あら、いざとなったら 血を吸ってあげるって言ってるのに。」
シ「そんなことしたら、志貴くん完全に貴方のものになっちゃうじゃありませんか。絶対に、そんなことさせませんっ!」
秋「兄さんっ!」
 ううっ、今すぐにでも この場を逃げ出したい。
 獰猛な猫の群に玩ばれる、鼠の気分だ。この場にいるだけで、命が削られていく感じがする。
 これからも、ずっとこんなことが続いていくのだろう。
 いくらドタバタしたって、終わりなんて・・・ 来ない方がいいに決まってる。
 月が震えるような緊張の中だから、俺には生きてるって実感できるかもしれない。
 そう、俺は思っていたい。
 アルクエイド、シエル、秋葉、琥珀、翡翠、ありがとう。

End