「雅史、なんとかゲットできたな。」
 「そうだね、浩之。」
 俺達は、昼飯のパン争奪戦に勝利したのだ。熾烈なカツサンド争奪戦を、チャイムダッシュで なんとかクリアできた。
 「それにしても、今日はラッキーだったね。」
 「そうだな。普段食えないものばかしゲットできたからな。今日は、いいことあると思うぜ。」
 俺達は、意気揚々と教室へと向かった。
 真夏を思わせるような日射しを受けて、渡り廊下を歩いていると 校舎の入り口に見知った人影を見つけた。眩しい日射しに慣れた目には辛いが、あの長い黒髪を忘れるはずがない。そう、芹香先輩が経っていたのだ。
 「よっ、先輩。」
 「こんにちは。」
 コクッ
 芹香先輩は、いつものように挨拶してくれた。
 「もう、食事は済んだのか? て、まだチャイムが鳴って数分だから それはないか。ハハハ・・・ 。」
 先輩は、俺をジッと見ている。そして、スッと俺に近づくと 抱きついてきた。
 えっ!?
 「ど、どうしたんだ 先輩!」
 ギュッと抱きついている先輩。俺は、そんな行為に硬直してしまい からだが動かない。
 「お邪魔みたいだね。じゃ、ボクは先に教室に戻ってるから ごゆっくり。」
 「お、おい雅史!」
 「だいじょうぶだって。あかりちゃんには、黙っておくから。」
 雅史のやろう、気ぃ使いやがって。ま、側に志保がいなかったのが救いか。
 「本当に、どうしちまったんだ先輩。」
 俺は、しがみついている先輩の行動が 不思議でならない。
 そりゃ、先輩は美人だから 抱きつかれて悪い気はしないさ。だが、今は昼休みで多くの人の目があるっていうのに。変な噂でもたったら、先輩が不幸じゃんか。
 「なあ、先輩。ここじゃなんだから、どっか人目の少ないとこに行こうか。」
 コクッ
 先輩は、うなずくと 俺から離れていった。
 「
私と一緒に、オカルト研究会の部室に来ていただけませんか。そこで、全てをお話します。
 先輩は、いつもの消え入りそうな声で 俺に話してきた。
 「いまから、オカルト研究会の部室へ行こうって? ああ、別にかまわないぜ。」
 俺は、あの部室でも食事は取れるから 迷いはしなかった。
 「
それでは、行きましょう。
 「ああ。」
 先輩は、先を急ぐように校舎の中へと入っていった。俺も、あわてて後に続く。
 先輩の誘いは嬉しいけど、いったいどうしたんだろう? 食事の誘いだとしても、変だ。いつも、中庭で食べているのに わざわざオカ研の部室に行くことねぇのにな。別の用事でもあるのか?
 まさか・・・ なんかの儀式にでも付き合わさるのか? いや、今は昼休みだから 時間的余裕はないだろう・・・ たぶん。
 「あっ、浩之ちゃん どこ行くの?」
 いろいろと考えをめぐらして歩く俺を、あかりが見つけたようだ。
 「えっと、その・・・ なんだな。先輩が、ちょっと付き合ってほしいっていうからな。
 そういうあかりこそ、どこに行くんだ。」
 「うん。ちょっと、ジュースを買いにね。」
 「そっか。じゃ、先輩が待ってるんでな。」
 「う・・・ ん。」
 あかりは、いかにもつまらなそうな顔をしていた。俺が、他の女の人と一緒にいるのが 気に入らないのだろうか。
 「すまん、先輩。じゃ、行こっか。」
 「
はい。
 ・
 ・
 ・

 「先輩、中になにかあるのか?」
 俺たちは、オカ研の扉の前に来ていた。
 「
それは・・・ 
 先輩は、急に悲しそうな顔をして うつむいてしまった。そして・・・
 ドゴッ!!!
 「うぐっ!」
 俺の鳩尾に、先輩の正拳突きが炸裂した。
 「カハッ・・・ せ、先輩 なに・・・ を?」
 不意を付かれた事よりも、先輩が このようなことをすること自体 信じられない。綾香ならありえるけど、格闘技のイロハさえ知らない先輩が こんなことをするなんて。
 「浩之! さっきの娘は、なんなのよっ! 浩之ちゃんって、妙に馴れ馴れしいじゃないのさ!!」
 綾香なのか?
 つい今し方まで、先輩だと思っていたのは 綾香だったのか?
 綾香が、先輩と入れ替わっていたのか?
 俺は、先輩から あかりと別れてから一度たりとも 目を離してはいない。だから、綾香と入れ替わったとは思えない。
 ならば、最初から綾香が先輩のふりをしていたのか?
 いくらなんでも、綾香に先輩を演じることは無理だろう。先輩の真似なんて、いくら姉妹だといっても 絶対に無理だ。
 それにしても、鳩尾が・・・ 。
 「あ、綾香なのか?」
 「そうよ・・・ 。」
 ? 自分が綾香だと言っているわりには、いつもの覇気がない。
 「どうして、お前がここにいるんだ?」
 綾香と付き合うために体を鍛えていたからいいものを、もし以前のままだったら 気絶していたに違いない。そんな痛みも、やっと引いてきたようだ。
 「う・・・ ん。とりあえず、中に入って。さっきの娘のことも、聞きたいし。」
 やっぱり、様子が変だ。
 オカ研の部室に、綾香(?)に続いて入る。
 カチッと、ドアに鍵をかけられた。遮光カーテンで仕切られ、中は暗くて見えない。
 ギュッ!
 「さっきの娘は、なんなの?」
 真っ暗な部屋の中で、綾香(?)は 俺に抱きついてきた。俺の胸に、顔を埋めている。
 「ああ、さっきのが 前に話した幼なじみのあかりだ。俺に取っちゃ、世話焼きの妹みたいなもんだよ。」
 「本当?」
 「ああ、本当さ。 ・・・その、なんだな。女性として気になるのは・・・ お前だけだよ。」
 俺も、綾香(?)をギュッと抱きしめ返した。
 「うれしい。ありがとう、浩之。」
 お互いの気持ちがを伝え合ってる中、俺の目は やっと暗闇に慣れてきたようだ。
 ・・・ ・・・ ん? 部屋の真ん中に、誰か転がっている? 人形? ・・・違う。人間のように見える。それも、髪の長い。そう、いつも魔法陣が敷かれているところに 誰か横になっているんだ。
 「綾香、誰かいるのか?」
 抱き合っているのを見られるのが、恥ずかしいわけじゃない。一抹の不安とでも言うのか、そこに横なっている人物の正体を 早く知りたくてしかたなかった。
 コクッ
 「えっ!?」
 うなずいて、スゥ〜と俺から離れていったのは 間違いなく姉の芹香先輩だ。
 「どうなってるんだよ、いったい・・・ 」
 俺の頭の中は、混乱していた。先輩だと思っていたら綾香。綾香が抱きついていたと思ったら、離れていったのは先輩。気が、おかしくなりそうだ。
 俺が頭を抱えていると、いつものようにローソクに火を灯し始めた。その灯火のおかげで、やっと床に横になっている人物が 誰かわかった。
 「あっ、綾香っ!?」
 魔法陣の真ん中に横になっているのは、間違いもなく 寺女の制服を着た綾香だった。
 「いったい、どういうことなんだよ 先輩!!」
 俺は、綾香に駆け寄るよりも このわけのわからない状況を 説明してほしかった。
 「
これから、お話しますから。それよりも、今は 綾香の身体に触らないでください。別に、何かあるというわけではないのですけど。
 先輩はそう言うと、椅子を向かい合わせに用意して 俺を招いた。
 俺は、素直に従い 椅子に座った。が、綾香が気になって 落ち着かない。
 先輩も座り、ゆっくりと俺を見つめた。
 「
これから、私が話す事を 聞いてください。とても、大事なことなのです。
 「綾香のことなんだろ? わかったぜ。」
 眠ったように、いや 本当に寝ているのかさえ 疑問を抱く。まったく動く気配さえないのだから。ただ、綾香という”肉体”が そこにあるというだけだという 感じにさえ取れる。
 「
魔法陣に横になっているのは、妹の魂の抜けた肉体です。今、妹の魂は 私の中にあります。
 「? どういうことだ?」
 「
そのことを、これから話すのです。質問は、それからにしてくださいませんか。
 「 ・・・ああ、わかった。」
 先輩の真剣な眼差しが、全てを物語っているのか 俺は話を終わりまで聞くべきだとわかった。
 「
それでは・・・ 昨晩・・・ 深夜のことでした。私は眠っていたのですが、妹の気配を感じて目を覚ますと 妹の魂が目の前の空間にあったのです。それが、単なる幽体離脱でしたらよかったのです。
 ところが、魂と肉体を繋ぐ糸が ほとんど切れかかっていたのです。

 それは、綾香が死ぬってことなのか?
 「
そのまま切れてしまえば、妹は死んでしまいます。私は、あわてて 妹の魂を肉体に戻す作業を始めたのですけど・・・ わずかに間に合いませんでした。
 じゃあ、目の前にあるのは 死体ってことなのか? 
 「
でも、幽霊部員さんたちの協力で 魂をこの世に止めることができました。妹自身も、かなりの未練があったようなので それはすんなりといきました。私は、妹の肉体を維持することもできました。
 死体を維持するって?
 「
幽霊部員さんの話ですと、妹は完全に死んだわけではなく 本当に細い糸で辛うじて繋がってるとのことでした。ですから、肉体の維持が必要だったとも言えます。
 私は、妹を 綾香を絶対に死なせはさせません。

 先輩の熱い想いが、伝わってくる。
 先輩を、信じよう。
 「
 ・・・ここまでで、質問はありますか?
 「綾香の魂は、どうしてるんだ?」
 「
ここに、私の中にあって ずっと、浩之さんを見ています。
 「そうなのか。」
 「
さっきは、妹が私の身体を使って 浩之さんと話したのです。
 「もう一度、話せるか?」
 「
・・・
 「 ・・・ごめんね、浩之。こんなことになっちゃって、私自身でも どうにもならないのよ。なんでも、自分で道を切り開けると思っていたのにね。」
 「まだ、完全に死んだわけじゃないんだ。先輩を信じようぜ。先輩なら、きっとなんとかしてくれるぜ。」
 俺は、先輩・・・ 綾香の手を取って ギュッと握りしめた。
 「痛いよ、浩之。でも、暖かい。」
 不安を少しでも和らげるように、俺は手を握り返してくる。
 「俺に協力できることは、何でもするから。きっと、帰ってくるんだぞ。約束だからなっ!」
 「うんっ!」
 「
 ・・・もう、いいのですか? 浩之さんのおかげで、妹の魂も力が強くなったように感じます。ありがとうございます。
 「礼なんていいよ。まだまだ、大変なのは これからなんだろ?」
 「
時間の猶予は、余りありません。このまま私の中に妹の魂を共有させていますと、二つの魂が融合してしまいます。すでに、その兆しはあります。
 「そんな・・・ 」
 「
そこで、妹の魂を肉体へと戻すのに 浩之さんが必要なのです。触媒としての男性が。
 「俺は、綾香のためにできることは なんでもするぜ。遠慮はいらないぜ、先輩!」
 俺は、綾香を助けるためだったら 何も惜しくない。
 「
それでは、その・・・・・・ 私と妹の中に、精を放出してください。
 「はっ?」
 「
ですから、私たち二人を抱いて それぞれの子宮に 浩之さんの精液を注いでほしいのです。それが、妹の魂を移すための触媒となるのです。
 「そんなこと言ったって・・・ 他に方法はないのか?」
 綾香だけならまだしも、先輩も抱かねばならないことに 躊躇していた。
 「
あることはあるのですけど、時間がありませんので。浩之さんがお断りなさるのなら、代わりの男性を探さないといけないのですが・・・ それですと、成功率はかなり低いものとなってしまいます。”想い”という、重要なファクターが足りないからなのです。
 ぐっ・・・ 。
 「ああ、わかった。わかったから、そんなことを言わないでくれよ!」
 ほとんど、脅迫的な話しだな。
 「
・・・
 「 ・・・ごめんね、浩之。」
 「あ、綾香。」
 「今、私の魂と姉さんの魂は少し融合しているから 姉さんの考えや想いがわかってしまうの。もちろん、私のことも姉さんに知られているわ。私が、浩之に抱かれて どれだけ幸せだったかも。
 だから、わかるのよ。姉さんも、浩之さんのこと好きだったんだって。
 そう言えば、以前 男の子の話しをしたこともない姉さんが 浩之のことを話してくれたことがあったっけ。あの頃から、浩之のこと気にかけていたのね。それを、私が取っちゃったんだ・・・ 。
 姉さんのそんな気持ちも知らないで、私 いろいろと姉さんに話してた。
 だから、だからね 浩之に姉さんを抱いてほしいの。姉さんは、私のために一生懸命してくれるのに 私は、姉さんに何もしてあげられない。いつも姉さんは、遠慮して自分の気持ちを押し込めていた部分もあるの。浩之のことが、好きだっていうのに言えないでいた。」  「綾香、もういいんだ。手に取るように判るからと言っても、それは 先輩の秘密にしていた部分だ。それを、おまえが話すべきことじゃないぜ。」
 「あっ! ・・・そっか。」
 「でも、おかげで 踏ん切りがついたぜ。先輩が、綾香のためだけに 自分の身体を投げ出しているわけじゃないっていうのが判って ホッとしたよ。
 ・・・綾香、必ず戻って来いよ。」
 「うんっ!」
 大きく返事をすると、綾香は引っ込んだようだ。雰囲気が、ガラッと変わるのでわかる。
 「
浩之さん・・・ 。
 先輩が、恥ずかしそうに俺の名前を口にする。
 「ごめんな、先輩。先輩の気持ちに気づいてあげられなくてよ。」
 「
いいんです。私が、ハッキリしなかったから。それでも、私は幸せなのではないでしょうか。こうしていられるのですから。
 そう言って、俺の手を取る先輩。
 「
せめて、妹のように扱ってください。
 「それは、できないよ。」
 「
なぜですか? 私では、不満なのですか?
 「そんなことじゃないんだ。綾香は綾香。先輩は先輩なんだ。」
 「
優しいんですね。
 「そんなことないって。」
 優しいなんて言われて、俺はこそばゆかった。
 「
あの・・・ お願いがあるのです。その・・・ 名前で、呼んでくださいませんか?
 「そうだな。恋人として扱うんだから ”先輩”じゃ失礼だな。んっ・・・ じゃ・・・ 芹香。」
 そうだ。俺は、先輩の気持ちに応えるためにも 恋人として扱わなければ。決して、綾香に対しての想いが薄らいだわけではい。儀式のためだけに先輩を抱くんじゃ、俺の気持ちも先輩の気持ちも 行き場がない。
 「
ありがとうございます。嬉しいです。
 「礼なんて、いいよ。それより、儀式を始めようぜ。」
 「
はい。
 綾香の魂を戻す儀式。そのために、俺は二人を抱く。
 俺は、さっさと服を脱ぐと 下着姿になった。先輩を見ると、脱いだ制服をきちんと畳んでいる。その下着姿が、悩ましい。
 それにしても、俺は何かを忘れているような・・・
 俺が、そんなことを考えていると 先輩は全てを見せるように 一糸も纏わぬ姿をさらけ出して 俺の前に立った。
 「せ・・・ 芹香。」
 ゴクッ
 俺は、思わず喉を鳴らした。
 「
浩之さん、妹の制服を脱がすのを 手伝ってください。
 「ああ。」
 俺は、綾香の身体を抱えると 先輩が制服を脱がす。
 まったく力が入ってない身体って、こんなにも重く感じるもんなんだな。綾香が、じゃれついてきたときとは 遙かに違う。
 苦労しながら、なんとか綾香を裸にすることができた。
 「芹香、どうやって 綾香を連れてきたんだ?」
 誰かに連れてきてもらうわけにもいかなかっただろうし、あの執事のジジイが ほっておくはずがない。
 「
女性の幽霊部員の方が、憑依して 妹の身体を動かしたのです。
 なるほどな。こういう時は、特に役にたつんだ。
 「
それでは、始めましょう。その・・・ 私は、どのようにすればよいのでしょうか? こういうことは、初めてなので。
 「芹香、俺がリードする。」
 「
はい、お願いします。
 処女の先輩。当たり前か。どんな男が言い寄って来たって、相手にしなかったっていう話だ。なのに、単なるサラリーマンの息子の俺に 処女をくれるっていうのだ。
 綾香も、一緒だったのだが 状況が違う。 ・・・・いや、違わないか。一時であろうと、先輩を芹香を恋人にすると約束したのだから。迷ってられないさ。
 ドクンドクンと、心臓が激しく鼓動する。
 「芹香。」
 「
あっ。
 俺は、先輩の身体を引き寄せて ギュッと抱きしめた。
 「怖いだろうけど、我慢してほしい。」
 「
だいじょうぶです。浩之さんは、こんなにも温かいのですから。
 先輩は、俺の背中に手を回すと 抱きしめ 全てを任せてきた。
 愛おしい。綾香とは、また違った愛おしさがこみ上げてくる。
 「芹香、上を向いて。」
 ゆっくりと上を向いて、俺の顔を見つめる 先輩。引き込まれそうな眼。
 チュッ
 俺は、一瞬だけ触れる軽いキスをした。
  先輩は、目をパチパチとしている。
 俺は、もう一度 唇を重ねた。今度は、相手の体温を感じるほどの深いキス。
 先輩の瞼が、閉じていく。それを確認すると、舌を先輩の口の中へと送り込んだ。
 「
んっ!
 先輩は、嫌がりもせずに受け入れると 舌を絡めてきた。温かく柔らかい先輩の舌。
 「
んっ・・・ 。
 お互いの舌を味わうように、絡め合う。そして、名残を惜しむように離れると 二人の間を銀色の糸が垂れ落ちた。
 「
んふぅっ。
 先輩の頬が、ぽわぁ〜と赤く染まっている。
 「
こんなにも、気持ちがいい感覚 初めてです。
 「まだまだ、これからだぜ。」
 「
あっ。
 俺は、先輩を抱き上げると 床にそっと寝かした。
 先輩は、俺が次に何をするのか 期待しているようだ。その期待の現れか、乳首がピコンッと立っている。
 「
浩之さん。
 「なんだい。」
 「
私より、妹を先に・・・ お願いします。
 「なぜだ?」
 「
それは・・・ 先に私があなたを受け入れてしまったら、私は・・・ 集中できないでしょう。そうすると、浩之さんは 人形のような妹の身体を 相手にしなくてはなりません。
 言っていることが、わからない。」
 「
妹を・・・ 妹をお願いします。
 そんな目で、見ないでくれ。
 「ああ、わかったよ。」
 俺は、いまにも覆い被さろうとしていたのを 寸前で止めることになった。
 芹香の魅力に、取り憑かれていた。綾香とは、違うものに。
 俺は、本来の目的を 一瞬忘れてしまっていた。
 「
私が、妹の手を握ります。そうすれば、私の中の妹が 肉体の感覚を呼び起こすことができるはずです。そうすれば・・・ 浩之さんも、満足できるのではないでしょうか。
 「・・・」
 綾香、すまない。俺は、心の中で謝るしかない。
 「
不安ですか?
 「いいんだ。俺がわるいんだから・・・ 。」
 「

 なでなで
 先輩が、起きあがって 俺の頭を撫でている。
 なでなで
 なでなで
 「先輩、ありがとな。」
 ジッ・・・
 フルフルッ
 「どうした?」
 「
先輩じゃありません。
 「はは、そうだったな 芹香。」
 「
はい、浩之さん。
 裸の男女が三人、不思議な空間を作っている。
 「儀式話続けようぜ、芹香。」
 コクッ
 まあ、中断させたのは 俺が原因のほとんどを締めているんだろうな。
 俺は、仰向けになっている綾香と向かい合った。
 染み一つない肌。
 あの時のまま・・・ 綾香を初めて抱いた、あの時のまま。
 ダメだっ! ダメだ、ダメだっ! 感傷に浸っている時じゃないんだ!!!
 まだ、生きてるんだ。死なせない為なんだ。
 「ひ・・・ ろ・・・・ ゆ・・・ き・・・ 。」
 「?」
 その声に驚いて綾香の顔を見ると、薄っすらと瞼を開けている。
 「綾香。」
 「浩・・・ 之・・・ お願い・・・ 来て。」
 声を出すのも、やっとのようだ。あの元気な声でなく、限りなくか細い声。
 それでも、力の限りを尽くして 俺を愛してくれる。綾香に、こんな一面があったんだな。
 俺の頬を、いつのまにか熱いものが伝っていた。その雫が、綾香の身体に流れ落ちる。
 「ど・・・ した・・・ の?」
 「いや・・・ 」
 俺は、涙を拭った。
 「すまん・・・ 待ってろよ。」
 「う・・・ ん。」
 そうは言ったが、上手くいくだろうか。俺があせっては、どうにもならないんだ。
 そっと、綾香の肌に触れる。張りのある質感は変わらないけど、何か物足りない。 ・・・体温が低くて、冷たくさえ感じるからか。
 触れる手を、豊かな胸に持っていく。
 モミ・・・ モミ・・・
 いつもなら、ここで 反応があるのにな。
 ”浩之ったら、ホントに胸が好きなんだから。”とか、言うのに。
 揉んでも、身体はピクリとも動かない。感覚自体はあっても、身体を動かせる力はないということなのか。
 俺は、右手を綾香の秘部へと持っていった。
 そこは、湿った感じはとれるが 濡れているとはいえない。果たして、濡れるのだろうか?
 俺が愛撫を続けても、無闇に時間を浪費するだけじゃないだろうか?
 時間がたつにしたがい、綾香は弱っていく。
 だったら、俺はどうするべきか・・・
 俺は、指による愛撫を続けながらも あたりを見渡した。
 何か・・・ 何か・・・ ないのか?
 「
どうかしましたか?
 「ああ、ちょっとな。」
 先輩を見ると、俺が綾香にするのを見ながら 自分の指を秘部にはわしている。
 ビクンッビクンッと、身体を痙攣させている。先輩のオナニー、色っぽいぜ。
 「あの・・・ な、先輩。オイルないかな?」
 「
オイルですか?
 「綾香のここに塗って、入れやすくしたいんだ。いくらいじっても、濡れてきそうにないんでな。」
 「
濡れる?
 「 ・・・ほら、先輩のそこみたいに。」
 クチュッ クチュッ
 先輩は、濡れて水っぽい音をさせていたのだ。
 「
あ・・・ 。
 綾香とリンクしているんだから、感覚的にはわかっているだろう。
 「どのような物が良いですか? そこの棚に、調合用として いろいろな物があります。」
 先輩が教えてくれた棚には、たしかに いくつもの瓶が整然と列べられている。
 「粘りがある方が、いいと思う。それと、香りのないやつ。香りで、萎えちまうかもしれないから。」
 先輩は、ちょっと考えて
 「
左から・・・ 5番目の・・・ 紫色の瓶。
 と、言った。
 俺は、棚に列ぶ瓶を眺めた。色々な瓶。いったい、どんなオイルが入っているのだろう。そして、どんな効用のオイルが。
 先輩が教えてくれた瓶を、手に取る。蓋を開け、中身を手に垂らしてみると たしかに粘りけがあるし 香りも極わずかにしかしない。
 「使えそうだよ、芹香。」
 コクッ
 先輩は、満足そうに微笑んだ。
 瞬間、ふと頭を過ぎった。本当に、いきなりだ。
 「芹香、ちょっと聞いていいか?」
 「
 ・・・?
 「俺は、綾香を助けるためだったら 何でもできる。だが、その後のことは・・・ どうなる? 俺が、芹香と綾香の子宮に精液をそそぎ込めば 妊娠するかもしれないだろ? そんなことになったら、大変だ。俺達、まだ高校生だし。
 いや、責任を取ることが 怖いんじゃない。俺よりも、二人のどちらか 二人ともの人生を狂わしかねないのが嫌なんだ。」
 「
 ・・・そのことだったら、大丈夫です。避妊薬を作って飲みましたから、安心してください。
 それに・・・ もし、妊娠したとしても 私たちは大丈夫です。

 「どう、大丈夫なんだ?」
 「
それは、好きになった人との子供だからです。後悔はしません。
 ・・・いつも、驚かされる気がする。先輩のあの強さは、いったいどこからくるのだろうかと。
 「ああ、わかったよ。芹香を信じなきゃ 始まらなかったんだ。」
 何度繰り返すのか、安心したり 不安になったり。それと、彼女らの強さの認識。
 俺も強くなくてはと感じながら、魔法陣の中に戻った。
 手に取った瓶から、オイルを綾香の秘所に垂らす。
 ドロォ〜〜〜としたオイルが、糸を引くように垂れていく。
 そして、いきり立ったモノの先で オイルをのばすように秘部を上下に擦る。
 いい感じだが、まるで反応のない綾香の身体では 寂しさを漂わせる。
 「よしっ。」
 気合いを込めて、膣口に肉棒をあてる。
 グッ ググッ
 腰を進めると、何の抵抗なく入っていく。
 「
あっ!
 んっ、先輩が声をもらしたのか? ぎこちなく自分のあそこをいじっているようだが、声を漏らすタイミングが・・・ 。
 ググッ・・・ クププッ・・・
 ググッ・・・ クプププッ・・・
 出し入れは容易だが、締め付けがまったくないのが。。。
 こりゃ、自慰してるのと変わらなねぇな。
 「
んっ・・・ ああっ・・・ くふぅ・・・ 
 う〜ん、やっぱし俺の動きと先輩の声が 重なり合ってるようだ。
 クチュッ クチュッ
 「
あんっ・・・ ああんっ・・・ 
 やっぱし、俺の動きと先輩のあえぎ声が 同調してるぜ。
 ・・・よく見ると、先輩は四つん這いに近いかっこうで 腰を前後に動かしている。ということは、自分で慰めているわけじゃない。ここまで、感覚が伝わっているものなのか。
 「芹香、もしかして 入ってるのがわかるのか?」
 コクッ
 恥ずかしそうにうなずく、先輩。うっ・・・ かわいい。
 「芹香も、気持いいんだな。」
 コクッ
 そうだな。まあ、どういった風に伝わっているかは 考えないでおこう。
 でも、これで俺の神経も刺激されるってもんだ。
 そして、再び腰を動かし始めると 先輩も声を押し殺したようなあえぎ声を出し始めた。
 ズププッ・・・ ズズズズ・・・
 ズチュッ・・・ ヌヌゥ〜〜〜・・・
 出し入れを繰り返していくと、あそこが熱くなっていくような感じがする。いや、熱くなっている。
 もしかして、オイルの影響か?
 段々と、身体全体も熱くなって行くような気もするぜ。
 「芹香、身体が熱いんだ。さっきのオイル・・・ なんか薬効があるのか?」
 コクッ
 「
媚薬効果と、精力アップです。
 なるほど。今の俺には、ピッタリのものかもしれないな。
 先輩のあえぎ声と薬の効果で、俺の快感も段々と高まっていく。
 クチュッ ズチュッ クチュッ ズチュッ
 水っぽい音が響く。
 「くっ、もう・・・ すぐだ。」
 「き、きてぇ 浩之。」
 はっきりと、綾香自信から聞こえた。
 「ああ、待って・・・ ろ。いま・・・ くっ・・・ でる。うくっ!」
 ドクンッ ドクンッ
 腰を深く打ち付けると、ありったけの想いを込めて 綾香の子宮へと精液を浴びせた。
 ビュクビュクという脈動が終わっても、まだ満足できないのかのように 俺のモノは堅さを失わない。これも、薬効なのだろう。
 ゆっくりと、俺のモノを綾香の中から抜き出すと 膣口は閉じることを忘れたかのように ポッカリと口を開いたままだった。
 「
浩之さん、続けてできますか? 少し休憩しますか?
 「いいや、大丈夫だ。それに、芹香を待たせるのも酷ってもんだ。相当でき上がってるみたいだからな。」
 俺の言葉を聞いて、さらに赤くなったような気がする。
 まあ、ああは言ったが 俺のモノが八切れそうなくらいなんだ。
 「
浩之さん。
 「なっ?」
 先輩が、ギンギンな俺のモノに触れてきた。
 スリ スリ
 「うおっ!」
 先輩が、そのしなやかな指を 俺のモノに絡ませて 弄ぶ。
 オイルと俺の精液にまみれたモノを、愛おしそうにこね回す。
 「
不思議です。とても・・・ 。
 パクッ
 「
んくっ・・・ 。
 「せっ、芹香!」
 ペチャ ペチャ ペチャ
 先輩の行為は、テクニックというものではない。ただ、汚れたものを丹念に舐り取ろうとしているだけだ。
 それが、またツボを押さえている。
 想いがこもっているというか、動作の一つ一つに なにかを感じる。
 「気持ちいいぜ。」
 「
んんっ。
 くわえたまま、俺の言葉に嬉しそうにする。
 なで なで
 たまらず、先輩の頭をなでた。 ・・・そういえば、なでてもらったことはあるが なでたのは初めてのような気がする。
 なで なで
 先輩の動きが、止まった。
 どうしたんだ?
 ジッとしたまま動かない。
 やがて、ゆっくりと俺のモノを離すと 気だるそうに腰を落とした。
 も・・・ もしかして・・・
 「芹香、イッちまったのか?」
 「

 「初めての感覚でわからないんだ。男の俺には、教えようのないものだし・・・ 。
 でも、綾香と融合しかかっているなら わかるはずだ。なあ、綾香。」
 俺が名前を呼ぶと、芹香から綾香にチェンジした。
 「う・・・ ん。そうね、姉さん。あれが、絶頂・・・ イクってことよ。
 でも、姉さんも 変わっているわね。浩之に頭をなでられただけで、イッちゃうなんて。
 ま、そんだけ気分が高まってたんだしね。」
 「綾香。」
 「だけど、私がでてくるのは ここまで。これ以上は、危険のような気がするの。それに、処女の姉さんに余計な知識は必要ないわ。あとは、実践あるのみよ。
 じゃ、浩之 お願いね。」
 「ああ。」
 そして、芹香に戻った。
 「芹香、可愛かったぜ。」
 ボォ〜としている、先輩。夢見心地といったところか。
 先輩には悪いけど、いつまでも そうしていられねえぜ。
 「芹香、いいかな?」
 「
・・・
 先輩は、移動すると 魔法陣の中で 仰向けになった。
 「
初めてですけれど、よろしくお願いします。
 真っ直ぐに俺を見て、先輩はそう言った。
 全てを差し出して、俺を迎えようとしている。
 学校の先輩。
 ちょっと変わった女の子で 魔法使い。
 でも、今だけは 俺の恋人。
 俺は、引き寄せられるように 先輩の足の間へと割り入った。
 ずっと、先走りを滲ませながらギンギンに立っているモノ。
 片手を、先輩の脚に添えて グッと大きく開かせる。
 ニチャッ
 蜜を大量に滴らせた美しいピンク色した花弁が、現れた。
 包皮から飛び出した肉芽が、顔を覗かせている。
 淡い恥毛が、その美しさを邪魔していない。
 「きれいだよ。」
 「
恥ずかしいです。
 次々に蜜を溢れさせ、甘い香りを漂わせている。
 「ここに、俺のモノが入るんだ。」
 ツプッ
 俺は、人差し指に蜜を絡めると 開いている花芯に進めた。
 「
ひあっ!
 なんなくと侵入した指。だが、その口は狭く 指一本がやっとの広さだ。
 それでも、俺の指をくわえ 離さない。
 「指一本なら、なんとか入るけど 俺のモノは数倍かの太さがあるんだぜ。
 さっき伝わっていた感覚を、あてにしちゃいけない。芹香は、処女なんだから処女膜が破れる時 相当の痛さがあるはずだ。あの綾香だって、泣いたんだからな。
 だから、あまり期待しないほうがいいぜ。」
 俺は、先輩の覚悟を促すために 言ってみた。
 「
わかりました。
 でも、妹は痛くて泣いたのではありませんよ。嬉しくて泣いたのだと、言っています。

 「・・・」
 はぁ・・・ やりづらいな。
 「
浩之さん?
 「 ・・・わかったよ。もう、なにも言わねぇ。んじゃ、いくからな。」
 俺は、先輩に覆い被さっていった。
  先輩は、優しく俺を包み込むように 俺の背中に手を回してきた。
 「芹香を、こんな形で抱きたくはなかったよ。」
 「
いいのです。それでも、私は嬉しいのですから 関係ありません。
 俺達は、何度目かの口づけを交わした。
 俺は、そのままの体勢から モノに手を添え狙いを定めた。
 モノの先が、花芯に触れた瞬間 先輩の腕に力がはいった。
 ググッ
 花唇を押し分けて、突き進む。
 亀頭が収まったころ、侵入を防ぐ壁が立ちはだかった。
 グッ グググッ
 力強く前へと押し込む。
 「
んっ、んんっ ・・・ 
 俺の背中に回された腕が、さらに俺を強く抱きしめる。
 ピッ・・・・・・
 何かが裂けたような音が、聞こえた。
 「
んっ、んんんっ!!!
 俺の剛直は、処女膜を突破し 膣へと侵入を果たした。
 ツツ〜・・・・・・
 先輩の目から、大粒の涙がこぼれ落ちた。
 コツッ
 俺のモノは、さらに奥へと進み 子宮口のーまでたっした。
 「
んん〜。
 完全に俺のモノを飲み込んだ、先輩。俺達は、本当に一つになったんだ。
 先輩の唇からゆっくりと離すと、止めどなく流れ落ちている涙が 俺の胸を貫いた。
 重苦しい・・・ でも、愛おしい。
 「
ハアハア・・・ ハアハア・・・ 
 「一気に奥まで入っちまったけど、辛くないか?」
 肩で息をしている、先輩。その姿が、痛々しい。
 「
ハア・・・ ハア・・・ だいじょうぶです。これは、私が望んだことなのです。それに、こうしていると 浩之さんの優しさが直接伝わってきますから 安心できます。
 それは、俺も同じだった。溢れるほどの先輩の優しさが、痛いほど伝わってくる。
 こんなにも、不思議で優しくて魅力的な先輩と 俺は一つになっているんだ。
 「優しくなんてないさ。優しかったら、先輩を泣かすようなことはしない。」
 「
 ・・・でしたら、もう泣きません。
 不思議な感情が、俺を支配する。
 先輩を、芹香を俺だけのものにしたい。
 綾香だけを愛してると思っていたのに。
 けっして、綾香に対する愛情が下がったわけではない。二人とも、同じにしか見れないんだ。
 一時だけの恋人ではなく、永遠の恋人と感じている。
 卑怯かもしれない。が、二人無くして・・・
 ズズッ・・・
 「
あああ・・・ 。
 いま破られたばかりの秘裂。そこを、鋭利な痛覚が突き抜けて 先輩は声を上げる。
 「ゆっくりするから・・・ 。」
 「
私にはかまわず、続けてください。それに、時間が・・・ 。
 「あっ!」
 時間的制約・・・ それが、ネックだった。
 先輩をいたわって行為を続けるには、時間がなさ過ぎるのだ。
 「ごめん、芹香。」
 ズズズッ ズヌゥ〜 ズヌヌヌッ ズニュ〜
 「
うあっ・・・ いっ・・・ いた・・・ い。
 痛みにもだえるように、俺が動くたびに 強くギュッギュッとしがみついてくる。
 「せ、芹香ぁ。」
 「
んくっ・・・ ん・・・ ああっ・・・ い、痛ぁ・・・ 。
 「気持ちいいぜ、芹香。」
 「
う・・・ 嬉しいです。あいっ・・・ いいぃ〜・・・ 。
 先輩は、辛いながらも にっこりと微笑んでくれた。
 「ああ、これじゃ すぐにイッちまうよ。」
 先輩の熱い蜜壺での刺激をより高めようと、腰の動きが速くなる。
 「
いっ・・・ 痛いです。で・・・・ でも・・・ ムズ・・・・ ムズします。あっ・・・ いい・・・ くっ・・・ くぅんっ・・・ 。
 先輩の声の質が、変わってきたようだ。わずかでも、快感を得ているのだろうか?
 「
浩之・・・ さ・・・ ん。おか・・・ おかしい・・・ です。痛い・・・ のに・・・ もっと・・・ もっと・・・ してほしいような・・・ こんな気持ちがぁ・・・ ああああ
 先輩の秘部が、ギュッと俺のモノを締め上げる。
 「芹香・・・ そんなに締め上げたら・・・ くっ。」
 俺は、そろそろ限界に近づいていた。
 ズチュズチュズチュズチュ・・・
 「
ハァ・・・ 痛いです。で・・・ でも・・・ ムズ・・・ ムズします。あっ・・・ いい・・・ んっ・・・ くぅん。
 先輩の声のしつが、変わってきたようだ。わずかでも、快感を得ているのだろう。
 「
浩之・・・ さん。おか・・・ おかしい・・・ です。痛い・・・ のに・・・ もっと・・・ もっと・・・ してほしいような・・・ こんな気持ちはぁ・・・ ああああ。
 先輩の秘部が、ギュッと俺のモノを締め上げる。
 「芹香・・・ そんなに締め上げたら・・・ くっ。」
 俺は、そろそろ限界に近づいてきた。
 ズチュズチュズチュズチュ・・・
 「
はひっ・・・ でも・・・ 身体が・・・ 身体が・・・ 
 痛さより、快感に対する割合が多くなってきたようだ。
 先輩は、甘い声を発して 俺の脳裏をさらに刺激する。
 こんなにも、先輩が声を上げるなんて 思いもよらなかった。きっと、心の枷がはずれた 本来の声なんだろうな。
 「
ひぃっ・・・ 浩之・・・ さん。私・・・ もう・・・ もう・・・ イき・・・ イきます。
 「俺もだ・・・ 。」
 射精感が、極限まで高まっている。
 「で・・・ でる!」
 俺は、先輩の秘部に腰を強く押しつけると モノを最深部へと導いて 熱い想いを解き放った。
 「くうっ!」
 ドクッ ドクンッ ドクッ!
 「
ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁ〜〜〜・・・・・・・・・・・・・・・ 
 熱い想いを子宮一杯に受け取った先輩は、俺を身体全体で抱きしめた。
 俺も、強く抱きしめ返した。 この温もりを離したくはないと。
 ドクッ・・・・・・ ドッ・・・・・・ ク・・・・・・
 全てをそそぎ込んだ俺のモノは、脈動を終え わずかにその強ばりを弛めた。それでも、まだ普通の堅さなのかもしれない。
 プル プル ・・・・・・
 先輩が、わずかに震えている。
 「
あ・・・ あ・・・ 
 なにかを我慢しているのか? と、そんな感じが受け取られる。
 スッと、俺の背中に回していた腕が 俺の脇を抜け 俺の胸板に触れた。そして、ゆっくりと掌で俺を押した。
 俺も、その行動に促されるように 重ねた肌をゆっくりと剥がした。
 ズルッ・・・・・・ ズッ・・・・・・ コプッ
 「
んっ・・・ 。
 一瞬、先輩の顔が苦痛に歪んだ。
 引く抜いた俺のモノは、精液と愛液 そして処女だった証が付着していた。
 「
んんっ。
 先輩は、重くなった体を起こすと 綾香の足の間へと自分の身体を持っていった。
 重なる姉妹の身体。
 絡み合う脚。
 一人の精液を溢れさせながら、密着する二人の秘裂。
 「
んあっ!
 密着度を増すために、腰を動かす先輩。
 クニュ クニュ
 二人の秘裂が、擦れあう。
 その淫靡な姿に、俺は見とれてしまっている。
 「
浩之さん・・・ 儀式を始めますから、魔法陣の外へ 出ていただけませんか。
 「はっ! 見とれちまったぜ。」
 先輩の声に、夢の世界から現実へと 引き戻された気分だぜ。
 俺が、魔法陣の外へでるのを確認すると なにやら不思議な言葉を先輩は列べていった。
 綾香の魂を本来の器に戻す儀式が、始まった。
 これで、綾香が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「あっちいな、もう10月だってぇのに、この陽気はなんなんだ?」
 「そうだね。ニュースで、8月下旬並の気温になるって言ってたよ 浩之ちゃん。」
 あれから数ヶ月。あの時のことが夢だったんじゃないかと思えるほど 平穏な日々が続いていた。
 変わったことと言えば、芹香先輩が積極的に俺に近づいてくるくらいかな。
 「何言ってんのよぉ〜。あんたみたいに、年中脳天気な人間に 季節なんて関係ないじゃん。」
 「あ゛っ? おめぇ、喧嘩売ってんのか?」
 「やぁ〜ねぇ〜。自覚がないってことは、罪よ!」
 「何言ってやがる。おめえこそ、自覚して ピノキオでも見習ってやがれ!」
 「なにそれ! むかつくわねぇ〜っ!」
 「まあまあ、二人とも 朝から喧嘩しないで。」
 とに、朝から疲れるぜ。
 「おっ、やっと来たか藤田。」
 校門で、担任の先生が俺を見つけて こちらにやってくる。
 「おはようっス、先生。」
 「おはようございます。」
 「ああ、おはよう 神岸。藤田、ちょっと来てくれ。」
 「なんスか?」
 別に遅刻ってわけじゃないし、日直でもねえしな。なんだろ?
 「まあ、来てくれればわかる」
 「HR、始まってしまいますけど。」
 「それはいい。出席にしておくから、問題ない。」
 「あんた、なんかしたの?」
 「さあ?」
 「なにそれ?」
 「はあ・・・ 。あかり、そう言うことなんで。」
 なんか納得いかねぇけど。。。
 「うん。じゃ、また後で 浩之ちゃん。」
 「ああ。」
 俺は、先生の後を追った。
 どこへ行くとも言わない、先生。
 俺は、これといった悪さをした覚えはないし 良いことをした覚えもない。何か用事を請け負わせるような雰囲気でもない。
 何かを隠してる。もしくは、何も知らされず 俺を連れてくるように言われた。て、ことか。
 だとしたら、誰に?
 校舎に入り・・・ 職員室・・・ の前を過ぎ去ってしまった。その向こうは、まったく俺達生徒には関わり合うことのない 理事長室があるだけだ。その理事長室の重厚な扉の前で、先生の脚は止まった。
 どうして、俺がこんなところへ呼ばれたのだろう?
 コンッコンッ・・・・・・ ガチャッ
 「藤田君を、連れて参りました。」
 丁寧に挨拶をする先生に習って、挨拶する。
 顔を上げ、理事長室の中が目に入ってくると 先輩と綾香、セバスチャン そして奥に一人の老人がいた。
 「ご苦労でした、先生。授業がおありでしょうから、後のことはお任せを。」
 セバスチャンが、俺だけを残すように促した。
 「はい。それでは、失礼します。」
 先生は、何も言わず 俺を置いていった。まあ、下手な詮索は後ってことか。
 「さて、君が藤田浩之くんか。」
 「はあ、そうですけど。あんたは?」
 「貴様ぁ、お館様に向かって その態度はなんだ!」
 吠えるセバスチャン。
 それにしても、お館様って・・・ ん? セバスチャンが、そんな態度を取るということは 綾香たちより上の存在。で、お館様っていうことは・・・ 主人ってことだよな。
 「長瀬、黙っておれ!」
 「はっ、私としたことが 出しゃばった真似を。」
 一喝されて、ジジイが縮こまってしまった。これで、確信がもてた。
 「で、俺に何の用だ。来栖川の会長さん。」
 「儂を知っておるようだな。」
 「今し方まで、知らなかったぜ。先輩と綾香が、一言も声を出せない。しかも、セバスチャンを一喝できる存在といったら 一人しかいないと思っただけだ。簡単なことさ。」
 「ふんっ、なるほどな。」
 ゆっくりと、椅子から立ち上がると その老人、来栖川の会長は 俺に近づいてくる。
 俺を、ジッと見据えている。
 「なるほどな・・・ 面白い男だ。」
 「そりゃ、どうも。」
 品定めされているみたいで、気分のいいものじゃない。
 「ふむ・・・ 孫達の選んだ男がつまらぬ者だったら、タダではおかなかったところだが。興味深い器を持っているようだ。」
 「で、俺に用っていうのは なんだ?」
 「太々しさも、なかなかのようだな。儂の若い頃を思い出させるよ。
 ・・・さて、用は済んだ。長瀬、行くぞ。」
 「は・・・ はい。
 小僧、命拾いしたな。」
 何言ってやがんだ、このジジイは!
 「そうそう、藤田くん。近いうちに、屋敷の方へ招待しよう。今後のことも話さないとな。詳しいことは、孫達に聞いてくれたまえ。
 では、楽しみにしているぞ。」
 そう言って、俺達3人を残して出ていった。
 「どういうことか、わかんねぇな。」
 綾香との関係がばれたにしては、おかしい。おかし過ぎる。それに、孫達ってことは 先輩も入ってるってことだよな。
 「よかったぁ〜。一時はどうなるかと思ったけど、お爺様に気に入られたようだし。」
 綾香が、緊張から解き放たれて ホッとしている。
 「先輩! 綾香!」
 「えっとね・・・ その・・・ 怒らないで、聞いてね。私たち・・・ その・・・ できちゃったの。」
 「はぁ?」
 「浩之との赤ちゃん。妊娠4ヶ月なの、私たち。」
 「赤ちゃん? 4ヶ月?? 私たち???」
 「ん、もう 鈍いんだから。ショック受けるのはわかるけど、早く自覚してよね パパ。」
 「パパぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっっっっっ!!!!!!!!!」
 コクッ
 「
がんばって、丈夫な赤ちゃん生みますね。
 頭の中が、二人の言葉で ぐるぐる回ってるぜ。
 少しせ・・・ 整理だ。
 赤ちゃん=俺の子供
 妊娠4ヶ月=綾香のあの騒動のあたり
 先輩も妊娠=あの時、一回だけしか関係を持ってない
 私たち=二人とも
 「えっ? えっ!?」
 「理解できたかしら。ま、そう言うことだから これからもよろしくね。」
 「
よろしくお願いします。
 「ちょっと待て! たしか、あの時先輩は 避妊薬を飲んだって言わなかったっけか?」
 必死になって、あの時の記憶を掘り返す。たしかに、あの時先輩はそう言ったはずだ。
 「
そのことなのですけど・・・ すみません。避妊薬と妊娠薬を、間違って作ってしまったようなのです。途中まで調合が一緒だったようで、気づきませんでした。
 「・・・・・・」
 もしかして、確信犯。。。
 「ま、結果は結果なんだから。ちゃんと、責任取ってよね。」
 「あ、ああ・・・ ま・・・ まかし・・・ とけ。」
 俺は、ショックで足下がおぼつかない感じだ。
 ふらふらと、後ずさりする。
 ドンッ
 理事長室の扉に、背中があたる。
 ギィギィィ〜・・・
 「はあ?」
 ロックされていない? 俺の体重を支えきれない。
 ドタッ
 「きゃっ!」
 俺が仰向けに倒れると、女性の驚いた声が聞こえた。
 天井を見上げていた目線をそらすと・・・ そこには、志保がいた。
 「あ・・・ あはは。」
 「志保、てめぇなにしてやがる。」
 「ん・・・ じゃ、また。」
 「待ちやがれ。」
 脱兎の如く、走り去る志保。あっという間に、行ってしまった。
 「浩之、だいじょうぶ? それに、今の娘は?」
 「とっさに受け身を取ったから、頭は打ちはしなかったさ。だが、まずい奴に話を聞かれた。あいつ、授業をサボってまで スクープを嗅ぎつけてきたか。」
 「どういうこと?」
 「あいつは、ワイドショー女 志保。昼までには、学校全体に話は行き渡っちまうな。」
 「なるほどね。この学校にも、そう言う娘がいるんだ。」
 「冷静だな。」
 「いまさら、とやかく悩んでもいられないからね。人がどう思おうと、自分と愛した人が幸せになればいいのよ。そうすれば、誰も文句は言わないわ。」
 「強いな、綾香は。」
 「強くなんてないわよ。大事なことを、傷つき失いたくないだけよ。ね。姉さん。」
 コクッ
 「 ・・・すまん。弱気になっちまって。芹香と綾香のために、強くなるぜ。」
 そう、強く生きよう。二人のために。新しい命のために。
 これから、多くの壁もあるだろう。それを、一枚一枚うち破って進んでやる。
 本当に守っていかなければならない人ができちまったからな。。。

End

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