74 【 時間点+2 】 この町の酒場は大抵どこでも、漁港での仕事が終わった後のこの時間から夕暮れまで が最も盛況になる。だが名も知らず、これといって特徴の無い青年の情報を聞き込むのは 簡単なことではないと思えた。ところが件の青年は、君の元を訪ねる半日ほど前から酒場 へやって来ては、君を含めた幾人かの短期労働者(そのほとんどが町の外から来た人間 のようだ)の事を訊ね回っていたらしく、その切羽詰った様子を覚えている者も多かった。 こうして得た情報によれば、青年の名はアデルといって町の雑貨屋で働いているらしい。 彼には最近できた婚約者がおり、近々結婚するのではないかと思われていたが、式は延 期されたままになっているという噂もあった。 その雑貨屋でも話を聞いてみたいところだが、すでに時間も遅く、青年の行方も気になる。 後を追うつもりであればもうこれ以上余計な時間を費やすわけにはいかない。 君は酒場にいた仕事仲間の1人に明日以降の仕事は休むことになるかもしれないと伝 え、店の主人に頼んで携帯用食糧を3食分購入すると宿に戻り、装備を整えてから再び待 ち合わせの場所へと向かった。(49へ) |