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【 時間点+1 】
 ランタンの灯りを細く絞ってから闇に目を慣らし、そして空洞を覗き込んでみると、数匹の
仔牛ほどもあるアリが天井にある穴から入り込み、空洞の奥に見えるボロ切れのような塊
を引きずっていこうとしているところだった。君の視力ではよくわからないその物体が何で
あるかをルルにも訊ねてみたが、返答は半ば予想していた通りに『……あの青年でなけれ
ばよいのですが』というものだった。
 君がルルと呼んでいる精剣アールイヴァリルの力は、所有者たる君の生存能力及び戦
闘能力を高めてくれるものだが、基本的な感知能力は君の感覚器を利用しているというこ
とがこれまでの旅で理解できている。つまりこのような状況で便利に活用できるようなもの
ではなかった。
 あの物体が何であるかだけでも確認をしておきたいが、そのためにルルを用いるのであ
ればそれはあの大アリを撃退するためということになるだろう。
 
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