52 【 時間点+1 】 ランタンの灯りを細く絞ってから闇に目を慣らし、そして空洞を覗き込んでみると、数匹の 仔牛ほどもあるアリが天井にある穴から入り込み、空洞の奥に見えるボロ切れのような塊 を引きずっていこうとしているところだった。君の視力ではよくわからないその物体が何で あるかをルルにも訊ねてみたが、返答は半ば予想していた通りに『……あの青年でなけれ ばよいのですが』というものだった。 君がルルと呼んでいる精剣アールイヴァリルの力は、所有者たる君の生存能力及び戦 闘能力を高めてくれるものだが、基本的な感知能力は君の感覚器を利用しているというこ とがこれまでの旅で理解できている。つまりこのような状況で便利に活用できるようなもの ではなかった。 あの物体が何であるかだけでも確認をしておきたいが、そのためにルルを用いるのであ ればそれはあの大アリを撃退するためということになるだろう。 ・ 大アリに攻撃を仕掛けるなら(36へ) ・ 引き返すなら(71へ) |