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 海賊の首領であるこの船の船長を優先して倒すべきだと君は判断し、覚悟を決めた。
すでに2人の腕利きに加え相当な数の人員を倒している以上、あとは統率する者さえ打
ち倒してしまえばもはやこの海賊団も終わりだろう。少なくとも君が漁船の護衛をしてい
た時、あの巨漢と双剣使いに匹敵するほどの腕がある海賊はいなかった。そんな生き
残りの連中だけでまた漁船を襲う気になどならないはずだ。
 ならば次は船長との戦いをできるだけ有利に運ぶための手段を考えよう。魔法に関し
てはまだ室内の様子がわからない以上、できるだけ温存しておいた方がいい。ルルに
教わった魔法原理に従えば、船内とはいえ閉め切った屋内で海面からも離れていると
いうだけでも、魔力を活用して建造されたような古代遺跡の内部ほどには上手く使用で
きないかもしれない。まだまだ術士としては未熟な君だったが、魔法は安易に頼ってい
い力ではないと告げたルルの意図が徐々に腑に落ちるようにはなってきていた。おそら
くその意図の真なるところは魔法に長ければ長けるほどに理解できるに違いない。
 ともあれ今は、魔法を使わず海賊の船長に挑むべき状況だ。

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