491 【 時間点+1 】 君がボロ布のような衣服をつまんでは除けていると、その間から1枚の紙片が床に落 ちた。拾い上げてみるとそこには拙い文字で文章が記されていた。 「始まりの海にのぞむのは なつかしき街といとしき人にいたる道 終わりの空にねがうのは 明日の糧と深き眠り」 『海賊でも詩を書くのですね。決して上手いとは言えませんが』 ルルが一体どれだけの詩に触れてきたのか想像もつかないが、どうも彼女なりの審美 眼というものがあって、伝説に聞く戦乱の世における精剣の活躍とは裏腹に、貴族令嬢 の如き生活をしていたのではと思わされることが度々あった。 この紙片を拾っておくかどうかは君の自由だ。いずれにせよもうこの部屋に用はない。 (476へ) |