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【 時間点+1 】
 部屋を歩き回っていると、どこからか君を見つめる視線があることに気づいた。やはり
海賊の仲間だろうか。君は何かを探す風を装いつつ気配を探り、隠れ場所を察するやル
ルを抜き放ちながら駆け込んだ! その途端「ぎゃっ!!」と悲鳴があがり、君の目の前
にはぼろ布を身に着けただけの老いた男が、腰が抜けたように座り込んで震えていた。
剣の切先を向けながら問えば、老人は今でこそ海賊船で働いてはいるが、実は数十年
前に船長を務める船が奪われた際、生き残った船員と共に囚われの身となり、以来ずっ
と海賊達の身の回りの世話をさせられているのだと答えた。だが今や生き残りも老人1人
となってしまったという。
 老人の足首には汚れがこびりついた錆だらけの鎖が繋がれ、その先には拳大の鉄球
が付いている。今の言葉も嘘のようには思えなかった。
「どうしたわけか、ここ数日の間に船に戻る連中の数がどんどん減っとる。逃げ出すには
もう今しかないんじゃ!! こんな老いぼれになってしもうたわしじゃが、せめて最期は故
郷の地で逝きたいんじゃ!!だから頼む!!わしを助けてくれ!!」
 老人は君が海賊の一員ではないことを知るや助けてほしいと懇願してきたが、応えて
やりたくとも君には別の目的がある。老人の足枷をルルの斬撃で断ち切ってやりながら、
どこかで囚われているはずの娘と共に連れ出してやることはできると告げた。
「娘じゃと?ならばあれか……だいぶ前に一度見たっきりじゃが、わしの寝床が上に移さ
れた時、入れ替わるように船倉へ連れて行かれるのを見たことがある」
 老人の記憶が確かなら、船の下層にある船倉まで降りれば娘がいるかもしれない。
「船倉への階段は下の食堂と、倉庫の奥にあるんじゃが、食堂には大抵連中がおるし、
倉庫の中はもう使える状態ではないかもしれん。わしも今はこの部屋を出ることを禁じら
れておるからなぁ、あんたが事を済ませる時まではあまり動けんのじゃ……」
 すまなそうに俯く老人に礼を言って君が部屋を去ろうとすると、老人はその背に告げた。
「もし船長に出会ってしまったら、迷わずに逃げ出すか、腕に自信があるならとにかく懐に
入って攻撃の手を休めんことじゃ。それでも戦うのは無謀じゃろうが……。もし無事に娘
を助け出したら、頃合を見計らって船尾まで来るんじゃ。船を準備しておくからな」
 君は貴重な情報を得て部屋を去った。「強運」を2点回復させること。そして脱出の際に
もし船尾甲板まで戻ることができたら、その番号から201を引いた番号に進むこと。
 なお、またこの部屋に来たとしても老人はすでにいなくなっている。(476へ