375 【 時間点+1 】 船体から突き出している何本もの大型の櫂はまだ動き始めていない。君はそれを横目 に見ながら船尾側に設けられた乗降用の梯子の下に小船を寄せると、その場に停滞さ せることのないように素早く梯子に取り付き甲板へ登っていった。海賊が漂い流れてきた 小船をどれだけ監視しているのかはわからない。上手くやれたとは思うが違和感を感じた 海賊がいないことを願いつつ甲板に降り立った君は、忍び足で船内への入り口を見つけ ると周囲に目を配りつつ中に入った。それと同時に魔法の効果は失われてしまったが、 充分に役目を果たしてくれたと言える。薄暗い通路で一息ついた君は、この船内にいる はずの娘を探してまた歩き出した。(424へ) |