352 【 時間点+1 】 その奇妙な三角板を近くにあった適当な箱に貼り付けてみたが、特に変わったことは 何も起きなかった。だが板を剥がそうとした指が箱に触れた時、あることに気づく。改め て箱に触れてみると、先ほどまで金属のように冷たかったものが人肌程度にまで温かく なっていた。ただし三角板を剥がせばごく短時間で元の温度にまで戻っていくようだ。 もしやこの板の作用なのだろうか。そうおもった君がまた三角版を貼り付けると、わず かな時間で周囲の温度が上がっていき、すぐに火傷を負いそうな温度にまで達した。 その後しばらく試してわかったのは、三角版の頂点が上下のいずれに向いているかで 貼り付けた対象物の温度が上昇、あるいは下降するということ。その温度は紙を瞬時に 焦がすような高温から、物体を凍結させる低温にまで達するものの、直接的に影響を及 ぼす事のできる範囲は非常に狭い範囲でしかなかった。しかし物体の温度が変われば その周囲にも当然のように効果は伝導していく。これを利用すれば一定量の水をあっと いう間に沸騰させることも、反対に凍らせることもできるだろう。 魔導器の一種でもあるこの三角版の使用回数はサイコロ1個分だ。そして1回につき 風呂桶一杯分の水を蒸発あるいは凍結させたり、松明程度の木材を黒焦げにするまで 効果は持続する。 扱いには注意が必要だが、何かの役には立つかもしれないと思うなら慎重に持ってい くこと。いずれにせよ君は再び操作盤の所に戻った。(310へ) |