327 【 時間点+1 】 君が逃げる海賊を黙らせたのは広間の突き当たりにある扉の前だった。完全に戦意を 失い腰が抜けた下っ端を殺す気にはなれなかったため、とりあえずは気絶させて拘束し ておくことにした。念のため気絶させる前に海賊仲間の情報を訊き出すと、この海域にや って来ている海賊が『黄金の虎』と名乗る30数人から成るもので、2隊に分かれた一方 がこの古代遺跡で仕事をし、もう一方は近隣の漁船を襲撃する役割を担っていたという ことがわかった。 遺跡には元々財宝目当てでやって来たらしいが、想定外に面倒な内部構造であったこ とから、盗掘向きの技術を備えた仲間を待つ間、ひとまずは侵入可能な場所で金目の物 を漁っていたということらしい。 彼ら『黄金の虎』の首領に関しては、長身で髭を生やしているという以外、名前すらわか らないが、手下達との間に入って命令を下す兄貴分がおり、その一方が君の倒した禿頭 隻眼の巨漢スラダブ。そしてもう1人が矮躯で双剣使いのビドロという2人の手錬だという。 荷物の陰に手下を転がしておいて改めて見回せば、荷袋と木箱が整理し切れぬまま散 乱する広間には、君が入ってきた扉とちょうど真向かいにあるこの扉の2つしか出入り口 がなかった。そして荷物のほとんどが空であることと、中身は君の目的と無縁だということ もわかった。(281へ) |