273 【 時間点+1 】 この部屋には(累々たる海賊達の死体を除けば)浴槽を大型化させたような金属の器 が中心に据えられており、その器から南北それぞれの壁に伸びた太い管は巨大な金属 の箱を通過した後、壁を貫通して隣の小部屋にまで繋がっているようだった。金属の器 の中には未だ鮮度を残す大小の魚介が大量に入っている。もしかしたらこの魚の一部 あるいは大半がイスターヴェの漁師から奪われたものかもしれなかった。 このような装置に見覚えがあるかとルルに尋ねると、彼女はこの遺跡独自の製作物で はないかと答えた。こんな地下にこれほどのものを建造してまで何かを追及している、修 道士の如き人間達の思考の産物に関するような知識は、さすがの彼女も備えてはいな いらしい。 ともあれ、もうこの部屋には君の役に立ちそうなものは無いようだ。(252へ) |