267 【 時間点+1 】 目の前の扉を静かに開けていくと、そこは大小の木箱や布袋が所狭しと積み重ねられ た巨大な広間になっていた。そして荷の上や狭間では海賊達が荷の整理に精を出して いるようだったが、粉塵で濁った空気のおかげもあって君の侵入に気づいた者はいない。 君が素早く扉を閉めて荷物の陰に身を潜めた直後、いつでも抜き放てるよう握っていた ルルから指示があり、剣をわずかに抜く。すると冷気とともに刀身から微細な霧が放出さ れた。それは水の精剣としてルルが備えた力を応用したものであり、本来は剣の主が決 して渇かぬよう補給され続けている水分を凝縮し、大気中に散布させたものだ。 この水のヴェールは舞い上がる粉塵や時には毒素等からも剣の主を保護する清涼な 空間を作り出し、ルルを伴っている限り一定時間は保持し続けることができる。 この精剣が生けるもののための剣として伝わっているのは、あらゆる水を司ることで生 命とともにその住環境の調整をも可能とするためらしい。そのような伝説は君が旅の間 に少しずつ調べた結果としての推測で、おそらく直接教えられている以上の事柄を彼女 は歴史に刻んできているに違いなかった。 そうして粉塵から守られた君が、荷物に身を隠したまま確認できた海賊は5人。山と積 まれた木箱を越えた反対側には、彼らの監視役も含めた何人かの海賊の気配があるが、 イザこちらへ駆けつけようとすれば多少の時間はかかりそうだ。ただしこの場からは扉や 通路のようなものが見当たらないところをみると、君が先へ進むにもこの荷を乗り越えて いかねばならず、海賊の目をやり過ごすのは不可能だと言えた。 ・ やはり別の手をルルと相談してみるのなら(290へ) ・ 手近な海賊へと攻撃を仕掛けるなら(291へ) ・ この場を引き返すなら(224へ) |