263 【 時間点+1 】 君が逃げる海賊を黙らせたのは広間の突き当たりにある扉の前だった。完全に戦意を 失い腰が抜けたような下っ端を殺すには忍びなかったため、とりあえずは気絶させて拘束 しておくことにした。念のためその前に海賊仲間の情報を訊き出すと、まずこの海域にやっ て来ている海賊『黄金の虎』がおよそ30数人から成るもので、2隊に分かれた一方がこの 古代遺跡で仕事をし、もう一方は近隣の漁船を襲撃する役割を担っていたということがわ かった。 元々この遺跡には財宝目当てでやって来たらしいが、想定外に面倒な内部構造だった ことから、侵入可能な部分で金目の物を漁っているということらしい。 彼ら『黄金の虎』の首領に関しては、長身で髭を生やしているという以外、名前すら知ら なかったが、手下達との間に入って命令を下す兄貴分がおり、その一方が君の倒した禿 頭隻眼の巨漢スラダブ。そしてもう1人が矮躯で双剣使いのビドロという男達だという。 荷物の陰に手下を転がしておいてから改めて確認すれば、荷袋と木箱が整理し切れぬ まま散乱する広間には、君が入ってきた北側の扉とちょうど真向かいにあるこの扉の2つ しか出入り口がない。そして荷物のほとんどが空であることと、中身が君の目的とは無関 係な物だということがわかった。(281へ) |