195 君は「MEATPAI」と文字を入力した。 ルルによればそれは肉や野菜を煮込んだものを、乳脂肪で作られた油の練りこまれた 生地に包んで焼いたような食べ物だという。この時代でも似たような料理はあるが、普通 の酒場や大衆料理店で食べられるような安いものではなかった。 文字を指で記し終わってから間もなく、その文字が点滅したかと思うと、室内に置かれ た装置の一部が淡い光を放ち始め、そして金属板に新たな古代文字が現れた。 『この遺跡の管理保護機能が解除されたことによって、特別な保存物の閲覧や持ち出 しが可能になったようです。』ルルがまた訳してくれる。 『このような遺跡では侵入者を撃退するための機能……要するに罠などが備わってい ることがありますから、これで探索が続けやすくなるはずです』 言葉の意味は今ひとつ理解しきれたとは言い難いが、つまりは遺跡内の重要物(それ は目当ての種子かもしれない)を外部に持ち出す事が可能になったということだろう。 君の脳裏には、探索に向かうべき場所が描かれつつあった。(142へ) |