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 君は「MEATPAI」と文字を入力した。
 ルルによればそれは肉や野菜を煮込んだものを、乳脂肪で作られた油の練りこまれた
生地に包んで焼いたような食べ物だという。この時代でも似たような料理はあるが、普通
の酒場や大衆料理店で食べられるような安いものではなかった。
 文字を指で記し終わってから間もなく、その文字が点滅したかと思うと、室内に置かれ
た装置の一部が淡い光を放ち始め、そして金属板に新たな古代文字が現れた。
 『この遺跡の管理保護機能が解除されたことによって、特別な保存物の閲覧や持ち出
しが可能になったようです。』ルルがまた訳してくれる。
 『このような遺跡では侵入者を撃退するための機能……要するに罠などが備わってい
ることがありますから、これで探索が続けやすくなるはずです』
 言葉の意味は今ひとつ理解しきれたとは言い難いが、つまりは遺跡内の重要物(それ
は目当ての種子かもしれない)を外部に持ち出す事が可能になったということだろう。
 君の脳裏には、探索に向かうべき場所が描かれつつあった。(142へ