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【 時間点+3(1回目のみ) 】
 大きな部屋にやってきた。その3方の壁にはやはりスライドする両開きの扉があるが、
それ以外の壁際には、使用意図もよくわからない細々とした突起の付いた大小の塊と、
神殿に置かれていれば祭器としてでも扱われていそうな、複雑な模様を刻まれた装飾品
のような物が幾つも並んでいた。
 それらを見回せば、何らかの規則性に従って配置されているかのようにも思えるが、君
にはどんな意味があってのものなのか全く想像もつかない。
 部屋の中央には壁や床と同じ素材で作られた円形のテーブルがあって、周囲に10脚
ほどの椅子が囲んでいるところを見ると、会議を行うような部屋だったのかもしれない。
もしそうだとすれば、周囲の様々な置物はここに集った者達の共有物なのだろうか。とも
あれ君が探し求める植物の種子とどう関わりがあるのか、そしてこれらにどんな価値が
あるのかやはり判別はつかない。それはルルも同様なのか、見覚えのあるものはない
かと訊いてみてもはっきりした返事は返ってこなかった。
 ひと通りの置物を眺めた後、別の場所に進むために扉へと足を向けた君は、他と異な
る置物が1つあるのに気づいて興味を引かれた。その置物は両腕で抱えられる大きさの
三角柱を横に倒した形をしていて、上を向いた面の1つには精巧な細工が施されていた。
 細工の中央には7枚の四角い金属板と長方形の金属板が埋め込まれ、その表面に指
で触れれば、触れた部分が淡く光って接触の軌跡を残し、ゆっくり消えていった。
 その直後、長方形の金属板に意味不明な文字の羅列が浮き上がった。
 『これは古代文字ですね』
 しばらく沈黙していたルルが言う。
 『システム起動パス……簡単に言えば、この部屋にある機能を目覚めさせるための秘
密の言葉を、先ほどのように金属板に示せと指示されています』
 君がこの事態をまだ理解しきれずにいると、さらにルルは告げた。
 『これは私の推測なのですが。この機能を目覚めさせるということはつまり遺跡自体に
血を通わし、たんなる遺跡跡という以上の変化をもたらすことになるはずです。それが貴
方にとっての得となるか損となるか、何が起こるかわかりませんし、十分に検討してから
でも遅くはないかもしれません。場合によってはこのまま放置しておく方がよいということ
も……』
 いずれにしても、その秘密の言葉というものがわかっていなければ考える意味すら無
いということだ。

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