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 扉の先は真っ直ぐな通路になっていたが、数十歩のところで行き止まりになり、そこに
先程までの半分程度の幅しかない扉があった。それを開いてみればまた通路が伸び、
同じような距離でまた扉に突き当たる。その扉を開いた先にはこれまでの人工物ではな
い自然の岩石に穿たれた横穴がほぼ真っ直ぐに続き、数十歩も歩いたところで遺跡の
外に達していた。おおよその感覚では、イスターヴェの西岸にある長い崖にできた入り
江状の亀裂の奥という事になるだろう。波打つ海面の少し上に開いた洞穴が、遺跡の
通路に繋がっていた。
『さっきの部屋の海賊達はここに船を着けたのかもしれませんね』
 ルルの言う通り、ある程度の操船技術さえあれば小船でこの場所まで入り込むことは
容易なはずだ。洞穴から見下ろす海の状態や入り江の長さを確認し、イザとなればこの
場所からの脱出もできるかもしれないと考えつつ、君は通路を引き返した。(284へ