73 目の前に酒瓶を置かれた小人は、恐る恐る両手を伸ばしてそれを大事そう に抱え、君を見つめながら後退りしたかと思うと、姿を消した。 もしかしたら無意味に失う破目になったのかもしれない。だが根拠の無い 不思議な信頼感のようなものを感じるのも事実だ。 しばらく待ってみようと思い、暇つぶしにモニュメント製作を続けてみる。 やがてモニュメントが君の座高を越える頃、小人は帰ってきた。 そして両手に抱えていた小さな包みを君の前に置くと、数歩退いて座り込んだ。 君がその包みを開いてみると、その中にあったのは断面が四角形の透明な 石の棒だった。 これにどの程度の価値があるかはわからないが、この小人にとっては酒の 代わりになるくらいのお宝なのだろう。 君はこの律儀な小人に礼を告げて、この場を離れた(57ヘ) |