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 ……あれからどれくらいの時間をモニュメント製作に費やしたのだろう。
  最初は寂しさから、小さく奇妙な生き物の懐柔手段として選んだ児戯のような
ものだったが、いつしか君はその虜となっており、いつしかこれに人生を賭けて
みてもいいような気分になっていた。
 唯一不安だった食事に関しても心配なかった。
 何故なら、あの生き物(後にフロースと名付けた)が、どこからか定期的に運ん
できてくれるようになっていたからだ。
 時には腹を壊したりもしたが、その時は薬までも手に入れてくるといった具合で、
生きるのに不自由はなかった。


 どうも君の最初の作品を見た時から、フロースは君の技術と発想(何がどう違う
のかは定かではなかったが)に惚れこんでしまった様子で、その甲斐甲斐しさた
るやまるで君の妻の如しだ。
 相変わらずフロースの性別は不明だが、その気持ちはおそらく愛情ではなく尊
敬であろう。むしろその方が君にとっては理想的だとも言えるが。


 ともあれ、君の冒険はここで終わった。
 いや、この生活もある意味では冒険と言えるのではないだろうか。




THE END