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君はあえて危険を冒さずに、病人として村に滞在することを選んだ。
 やがて山狩りが始まり、あたりの村に被害が出てきているという事を聞いても
無言を通し、数日後には体調を回復させて、再び旅立つことを決めた。


 君を介抱してくれた娘の、名残惜しそうな表情にも見て見ぬフリをしたのが最後、
あくまでも自らの記憶を探すという目的のための旅であることを徹底して自身に
課した君は、何処かの地で命尽きるまで記憶を取り戻すことはなく、ましてやその
名が人々の記憶に残る事もなかった……。




BAD END