光硬化パテで文字パーツを作ろう

written by t.akiba & studioKotatsugaHouse 2006.02.04
last update 2008.01.12

はじめに

2004年10月あたりに発売したタミヤ光硬化パテは模型界に衝撃と可能性を与えました。当方も発売してすぐに入手しいろいろ遊んでみましたが、ただ単に「固まるのが早いパテ」というだけでなくアイデア次第で新たな使い方が出来ると思います。
とりあえず普段作るのが非常に面倒な「薄い文字パーツ」を作ってみます。デザインナイフでプラペーパーをちまちま切ったりしてもいいのですが時間がなく面倒だったり、カッティングプロッタで切り抜いても細かい文字が抜けなかったりと、ちょっと苦労します。当ページの方法だと文字に限らず模様等にも使用出来るので、いろいろ応用してみたら良いと思います。

準備するもの

型紙の準備

型紙
作りたい文字の型紙を作ります。
レーザープリンタや熱転写プリンタ等、インクがにじまない方式のプリンタを使用して下さい。どうしてもインクジェットでないと印刷出来ない場合はコンビニ等でコピーしてきて下さい。
今回は太い文字を使用していますが、当方の実験では0.5mm幅の線の文字でも奇麗に出来ています。
白い部分が文字になりますので、文字は白抜きにし、その他は黒で塗りつぶします。
サンプルは印刷面から見ると読めるかたちになっていますが、紙の裏側に造形されるので文字は左右反転します。今気付きました(苦笑)。
ちなみにサンプルは「検印」となっていますが、特に意味はありません。

濃くする
ちょっと薄かったので裏からペイントリムーバを含ませたティッシュペーパーでなでてトナーを溶かして色を濃くしています。最近のプリンタやトナーをけちってない皆さんは特にやらなくてもいい工程です。

作成

パテもり
型紙の裏面に光硬化パテを塗ります。文字の上をカバー出来るように塗ります。
当方はチューブから指で塗りました。
この時、あまり強い光を当てないようにして下さい。普通の部屋の明るさならそうそう早く硬化はしませんが、不安なら蛍光灯を茶色(笑)にして下さい。
塗る量ですが、薄いとその高さまでしか造形されませんが、多すぎると無駄になります。

照射
型紙の表からスポットライトで強い光を当てます。今回はパルックの電球で光を当てています。
とりあえず試しに電球から5cmの距離で10秒間当てています。

照射完了
光を当て終わった状態。この状態だと見た目は塗る前と変わりませんし、表面はまだベトベトし固まっていません。

ぬぐう
ティッシュペーパーにペイントリムーバを含ませ、強くこすって未硬化な光硬化パテを全てぬぐった状態。白い部分に光硬化パテが固まっています。あとはこれをデザインナイフ等で丁寧に剥がして別のパーツに貼付けても良し、上からエポキシパテにリップクリームを混ぜてゆるくしたものを押し付けて一日置いて固めて転写しても良し。

その先へ

さて、上の完成写真を見て気付く事は、検と印の間が繋がっていたり、いまいちシャープに文字が作られていない所です。今回は上に書いたように5cmの距離で10秒光を当てるという条件でしたが、この光を当てる時間を短くします。足りない場合は光を当てる時間を長くして調整します。これは白い部分の太さや電球の種類により変化します。
この造形された文字の厚さは光を当てた時間に影響されます。なので、十分にパテを塗っていれば高さは一定になります。

時間を短くしてシャープな文字にしたいが、厚さが足りない、という状況でしたら、この上からまた光硬化パテを塗り、再度光を当てます。同距離同時間の条件で光を当てれば二倍程度の厚さになります。メーカー公称では2mm程度まで光が届くそうなので、大体それくらいの厚さまで出来ると思います。当方は食玩の裏の著作権表記くらいの深さの文字まで試しました。

文字の大きさですが、新聞の活字くらいの大きさの文字でもしっかり造形出来る事を確認しています。時間と距離を工夫して試してみて下さい。

5回くらいやりなおして、1回くらい満足いくものが出来れば成功、という気分でいてください。文字の太さや字形によって条件は変わってくるので、懲りだすと毎回条件が変わってくるからです。

では、機会ありましたら試してみて下さい。

追記

2006/03/21に行われたTAT-CON03rdにて、当ページの内容を実演した際にサンプルとして持って行ったロゼッタストーンです。
ロゼッタストーン
思いついてから完成までに5時間くらい、そのほとんどがエポキシパテの乾燥時間でした。

建艦日報さんのブログで巧く作れるコツが紹介されています。
2007/10/11(木) 島風 船体の製作(4)
2007/10/26(金) 島風 光硬化パテで縞鋼板を作ろう(途中経過)
2007/11/01(木) 島風 光硬化パテで縞鋼板を作ろう(とりあえず終了)
2007/11/02(金) 光硬化パテで縞鋼板を作ろう(まとめ)
オイルを用い、紙の白い部分の光の透過度を上げる手法が紹介されています。
これからやってみようという方は、こちらのページを一読してからやってみて下さい。

この光硬化パテで文字パーツを作る方法の有用性を考えてみます。
元々この方法を思いついたきっかけというか主目的はガレージキットの版権表記を刻印する為でした。版元から提示された版権表記が正式なフォントというかロゴで、普通に彫刻刀などで線を掘る以上の事は要求されてはいませんでしたが、どうしてもその正式ロゴをそのまま使いたかったのでこの方法を考えついたんです。
版権表記に付いて普通そこまでこだわる人はいませんので、もし版権表記をもっと簡単に行いたいのならば、アルミホイルにボールペンで字を書きパーツに貼付けた方が楽でいいです。


変更点
2006.02.05:誤字の訂正。一行違う部分に挿入されていた文を修正。
2007.11.18:ロゼッタストーンの作例を追加。建艦日報さんのサイト紹介を追加。
2008.01.12:あまりにも使えないとか版権表記はもっと楽な方法があるとか叩かれるので、版権表記用途についてコメント追加。そんなの皆わかってると思ってたし、叩く方もなんでそんなに偉そうなんだと。